政治

ABEMA TIMES

2026年3月29日 11:00

落選議員の再就職「次選挙に出るなら仕事任せられない」元いた会社に戻れず…“国政復帰”が壁に

落選議員の再就職「次選挙に出るなら仕事任せられない」元いた会社に戻れず…“国政復帰”が壁に
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 「議員は落ちたらただの人」――落選議員たちを待つ現実は厳しい。2月に行われた衆議院選挙では、自民党が記録的大勝を収めた裏で、立憲民主党と公明党によって結成された中道改革連合から立候補した多くの議員が落選、野に下った。「ABEMA Prime」では、落選した3人の前議員が出演。連日、国会議事堂に足を運び、多忙ながら華やかさもあるところから一転、生活基盤を作るため、また再び出馬するために再就職先を探す苦労を語った。

【映像】職探しに奔走する“落選議員”

■元いた会社に戻れず…

宗野創

 東京30区から立候補し落選した五十嵐衣里氏は、現在、自らを「絶賛就活中」と称する。弁護士資格を持つ彼女であれば、落選後のキャリア復帰は容易かと思われたが、現実は甘くなかった。

 立候補時に所属していた法律事務所への復帰を希望したが、事務所側からは難色を示されたという。「落選して元々所属していた弁護士事務所に戻ろうと思ったが、『次も選挙に出る予定』と話したところ『仕事を任せられなくなるので難しいんじゃないか』と言われてしまった」と、復職が叶わなかった。

 さらに「また数年後に選挙がある方を戻すのは問題があると他の弁護士も言うのではないかという感じだった」と、詳細を明かす。事務所側からはオフィスのスペースの問題なども理由に挙げられたが、実質的には政治活動を継続する不安定さがネックとなった形だ。

 都議会議員時代や国会議員の初期にも弁護士業務を継続していたが、国会の委員会や本会議と裁判の日程が重なることが多く、他の弁護士に業務を代わってもらう場面が増えていた。そのため、議員活動に専念すべく弁護士業務を縮小して選挙に臨んでいたことが、皮肉にも落選後のリスクとして跳ね返ってきた。現在は「今はメインとなる弁護士業はない」状態であり、いくつかの事務所と相談を重ねながら、次なる居場所を模索している。

 神奈川18区から立候補した宗野創氏は、落選後も早朝の駅立ちを欠かさず、国政復帰を目指して活動を続けている。しかし、公的な手当てが一切なくなる「浪人生活」において、最大の課題は政治活動資金の確保だ。

 現在、特定の企業に所属するのではなく、複数の仕事を組み合わせて生計を立てている。その実情について、「いくつか非常勤の仕事、コンサルティング・顧問的な仕事をしながら何とかお金を工面しつつ、できる限りの時間を政治活動に割けるように工夫をしてやっている」と語る。また復職できるケースも以前よりは増え「ここ最近の選挙では、リボルビングドアというか、職場に戻れる人も増えてきた。それはすごくいいことだと思う。選挙が終わって1週間でまた働き始めたという人も聞いた」とも加えた。

 こうした働き方には、単なる生活費の確保以上の戦略も含まれている。これまで社会保障や子育て分野をメインに取り組んできた経緯から、「できる限り次にステップアップするために、自分も研鑽を積みたい」と考え、幼稚園や福祉法人の仕事をメインに組み立てているという。

 元三井住友銀行出身という経歴を持つが、銀行のような組織への復帰について「1回辞めた、しかも政治家になった人を戻すのは、癒着にしか見えないのでは」という、2ちゃんねる創設者・ひろゆき氏の指摘に対し、企業によっては選挙後にすぐ職場復帰できる例が出てきている変化も認めつつ、自身については「片道切符」の覚悟で飛び出したことを強調した。

■「政治への入り口」を広げるためのサポート体制

藤原規真氏

 愛知10区から立候補した藤原規真氏は、他の2人とは対照的に、落選直後から弁護士業への復帰を果たした。藤原氏は「弁護士という資格自体、もうすぐに始められる性格を持っている」とし、「落ちたらすぐ『芸は身を助ける』だった」と、専門資格がセーフティーネットとして機能したことを語っている。

 藤原氏の弁護士活動と政治活動の両立は徹底しており、前々回の選挙戦の最中にも国選の刑事弁護の公判に出廷し、終われば選挙戦に戻るという生活を送っていたという。落選後も即座に接見業務などに復帰している。

 一方で、藤原氏は自身のような「士業」や「医師」、「会社経営者」以外の候補者が置かれる状況には危機感を抱いている。「公務員を退職されたような方には、(落選しても)自己責任という言葉だけでは片付けられないものがある。例えば政党の事務職員にするとか、制度的なその保証はあっていい」と、多様な人材が挑戦できる環境整備の必要性を説いた。

 議論を通じて浮き彫りになったのは、日本の政治システムにおいて、落選が個人のキャリアに与えるリスクがあまりに高いという点だ。この課題に対し、出演者からは新たなサポート体制の必要性が提言された。

 フリーアナウンサーの柴田阿弥は、多様な意見の集合体である民主主義を守るためには、政治への入口を平等にすべきだと主張した。「あまりにも落選した時のリスクが高すぎると、社会的に『挑戦しない方がいいよ』となるのもよくない」と指摘。地盤が強い人や世襲、富裕層、あるいは資格職で戻りやすい人ばかりが選ばれる現状を危惧した。その上で、挑戦した人のキャリアが途切れないような就職支援などの仕組みが必要であると訴えた。

 また、パックンは国益の観点から政治家の育成を捉えるべきだと提言した。「国は政治家を応援すべきだと思う。なぜなら今はお金に余裕がないと政治家になれない」とし、イノベーターや研究開発への支援金と同様に、政治家への挑戦に対しても「例えば3カ月は応援する」といった制度が必要であると述べた。一番優秀な人材が対等に戦える土俵を作ることが、国の発展に繋がると述べていた。 (『ABEMA Prime』より)

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