食料品の消費税減税などを話し合う超党派の国民会議で、自民党が目標としていた6月中の中間取りまとめが見送られました。
自民党の小野寺税調会長が示した『実質ゼロ』に、野党だけでなく身内の自民党内からも反発が出ています。
■消費税減税 中間とりまとめ見送り 財源は“具体性なし”
高市政権で行われている『食料品の消費税減税』を巡る動きを見ていきます。
食料品の消費税減税などを議論する超党派の『国民会議』では、6月中に消費税減税の制度設計を巡る議論の中間とりまとめを行う予定でしたが、見送りになりました。
ここまでの、食料品の消費税減税を巡る議論の流れです。
高市総理は食料品の消費税0%を「私自身の悲願」と言い、2月の衆院選では、食料品の消費税を2年間に限りゼロにするという公約を掲げ、自民党は大勝しました。
高市総理は、食料品の消費税0%を2027年の4月にスタートさせるため、制度設計の議論を始めます。
その議論を行っているのは、超党派による国民会議の実務者会議です。
3月からこれまで17回にわたり会議が行われています。
初会合の際には、夏前(6月中)をめどに、中間とりまとめを行うとしていました。
しかし議論を進めていく中で、ある問題が浮上します。
食料品の消費税を0%にするには、レジのシステム改修に1年程度かかるということがレジメーカーから報告されました。
ただ、1%への引き下げであれば、レジの改修が半年程度で可能だということで、6月3日の会議で1%案が有力になります。
さらに6月17日の会議では、消費税1%分で給付を行う『実質ゼロ』案が提案され、この議論をもとに中間とりまとめ案が作成されました。
6月24日の会議で示された中間とりまとめ案の中身です。
2027年の4月1日から2年間に限って食料品の税率を1%に引き下げ。
そして1%分の6000億円を原資にして、中・低所得者に給付し、食料品消費税を実質ゼロとするというものです。
これは給付付き税額控除の実施までのつなぎで、2年後に8%に戻すといいます。
この案に対し、野党は反発しています。
「実質ゼロは消費税でなくても給付でできる。わざわざ1%に下げるのは余計なこと。給付がもっとも迅速で負担ゼロでできる」と話します。
続いて財源についてです。
中間とりまとめ案の内容です。
6月24日の会議で示されたのは、一時先送りを意味するPの文字(ペンディング)でした。
6月26日の会議では財源について、
『市場の信認を損なうことのないよう特例公債に頼らず、補助金・租税特別措置の見直しなど歳出・歳入のあらゆる見直しを通じて確保する』と書かれていましたが、具体的な財源の内容には踏み込んでいませんでした。
これに対し野党側の反応です。
「これで財源って言うんだったら、いくらでも財源は出てくる。本当にびっくりした」と話し、
「もう少し具体的なことを書かなければ、財源の議論は何もないに等しい」と話します。
財源を示さないことが円安を加速させる恐れもあるといいます。
6月30日の円相場は、1ドル=162円台まで下落しました。
1986年12月以来、約39年半ぶりの円安水準です。
「市場で意識されていた約39年半ぶりの円安水準を突破したことで、さらに円安が進む可能性がある」としています。
「財源を具体的に示さないまま減税の話を進めると、『財政を軽視している』と市場から受け止められる。『日本の財政大丈夫か?』と不安をかきたて、円の信用低下から、さらに円安を加速させる可能性」があるとしています。
■自民党内でも反発続出 なぜこのタイミング?
この消費税減税をめぐっては野党だけでなく、自民党内からも反発の声が出始めています。
6月25日の自民党の税制調査会は、中間とりまとめ案について議論した結果、批判が続出しました。
「減税をした方が国民に受けるとか、そんな理由だけで上げたり下げたりしてしまうと、本当に社会に混乱をきたすことになる。私は反対しています」
「出席者のほぼ全員が、とりまとめ案に反対だった」
「消費税減税には反対。財源をいただくものは、しっかりといただいた上で適切な予算を執行するというのが政府の正しい姿だ。衆院選の公約は『検討を加速する』であり、もうすでに検討は加速したので、公約は果たされている」と話しました。
さらに、小渕優子元経済産業大臣は、自民党税制調査会の幹部ポストを辞任する意向です。
財政再建派の小渕氏が、高市政権が進める消費減税への反発という見方もあります。
自民党内で意見の隔たりが埋まらず、調整は難航しています。
なぜこのタイミングで不満が続出するのでしょうか。
「消費税減税や定額削減などの議論で、高市総理が懸念の声をあまり考慮せずに突き進んでいるという不満が自民党内で高まっている。反発の声が多く出てきているのはその不満の表れ」
今後どうなるのでしょうか。
■2年後に実質“増税”?「政権を失う」 過去に選挙大敗も
食料品の消費税の減税を巡っては、2年後には実質“増税”となると、選挙を見据え、自民党内から反対の声があがっています。
「2年後に8%へ戻すということは、政権を失うことになる。大変な選挙になる」
「2年後には『戻す』ではなく、『1%から8%への大増税』と言われる。そんなことでは選挙なんてとても戦えない」と危機感も出ています。
過去の消費税増税後の選挙ではどうだったのでしょうか。
1997年、橋本内閣が5%へ引き上げ、翌年の参院選で大敗し、橋本総理は辞任しました。
2012年には野田内閣が2014年4月に8%、2015年10月に10%への引き上げることを決定すると、その年の衆院選で大敗し、政権交代となっています。
「2年後に税率を戻すときは政局になる可能性が高い。高市総理は政権の命運をかけて戻すしかない。だから消費税減税が終わって、新たな給付付き税額控除を始めるという立て付けにしている」といいます。
■7月は値上げラッシュ 物価高に減税の効果は限定的か
消費税減税の効果は限定的だという指摘もあります。
静岡のある弁当店では、唐揚げ用の輸入肉が2割以上値上げとなり、『鶏肉ショック』のような状態だということです。
原油高の影響で、弁当のケースや油も高騰。
経営的にかなり苦しいといいます。
7月の飲食料品値上げは2566品目にのぼり、3カ月ぶりの2000品目超えで、値上げラッシュとなる見通しです。
原油やナフサ高を受け、トレーやフィルムなどが高騰したことで、値上げ品目数を大幅に押し上げたということです。
原材料の値上げ分を先ほどの静岡の弁当店では十分に価格転嫁できておらず、利益を削っている状態だということです。
「うちの唐揚げ弁当は税込み790円だが、下げられるのは3%程度(2〜30円)。踏ん張ってきた分、減税を使い、利益を取り返したい店舗も多いのでは」と話しています。
「このタイミングでの消費税減税はインフレ加速の要因にしかならない」と話していて、
「公約で約束したんだから減税をやるのも大事だが、本当に効果があるのか」と疑問を呈しています。
消費税減税の効果について、ABC経済研究所の熊野さんの試算では、食料品の価格高騰は2022年以降、年平均5.8%で進んでいます。
このペースが続けば、7%の引き下げ(食料品の消費税8%→1%)は1年3カ月で効果が消えることになるということです。
物価上昇の原因がなくならなければ、「中長期的には意味がない」としています。
「価格設定は事業者がするもので、8%分ぴったり下がるとは考えていない。ただ食べることは人間にとって本当に基本的な大事なことで、物価高対策として少しでも効果があると考えたら、躊躇なくやるべきと考えた」としています。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年7月1日放送分より)














