2026年の防衛白書が公表され、AIやドローンを活用した『新しい戦い方』への対応が記載されました。
『新しい戦い方』で日本の防衛にどんな影響が出るのでしょうか。
戦場で使われているドローンの脅威についても見ていきます。
■防衛白書『新しい戦い方』 ドローン脅威を強調
8月4日、防衛白書が公表されました。
「各国が『新しい戦い方』や長期戦への備えを急ぐなど、安全保障環境の変化が様々な分野で生じている」
新しい戦い方とは、ドローンなどを指しています。
ウクライナ侵略では、安価で多様なドローンが数多く使われています。
敵の位置を探したり、高価で重要な装備を攻撃したりするのに使われます。
「戦国時代に弓や刀で戦っていたところに鉄砲が現れて戦場が劇的に変化したように、現代ではドローンが戦場を劇的に変化させた『ゲームチェンジャー』に」
戦場で使われるドローンはどのようなものなのでしょうか。
2016年に設立、産業・防衛ドローンのベンチャー企業『テラドローン』は、6月に、迎撃ドローンを開発しているウクライナの企業を買収しました。
ウクライナで現地生産された迎撃ドローンです。
エンジンや爆薬は搭載されていません。
遠隔操作型の迎撃ドローン、『Terra A1(テラ エーワン)』。
そして、AIを用いた自律型迎撃ドローン、『Terra A1 Autonomous(テラ エーワン オートノマス)』です。
どちらも、最高速度は、約300キロ。
航続距離は、約30キロから35キロ。
航続時間は、約14分から15分です。
迎撃ドローン、1機の価格は、遠隔操作型の迎撃ドローン、『Terra A1(テラ エーワン)』は、約40万円。
ボディは3Dプリンタを使って4時間ほどで製造できます。
先端部分に爆弾を入れ、スイッチを押すと爆発するということです。
■ウクライナ イラン ドローンが戦況に大きく影響
ウクライナやイランの戦場で、ドローンはどう使われたのでしょうか。
2022年のウクライナでは、市販のドローンを攻撃に転用していました。
「ホビーショップでも買えるドローンで、戦車を破壊できる」と話していました。
2023年、500ドルのドローン3機が450万ドルの戦車を破壊したとウクライナの国防省がSNSに投稿。
ドローンが500ドル(約7万円)、戦車は450万ドル(約6億円超)。
金額を比べると9000倍の差があります。
ウクライナ侵攻当初は、戦力に大きな差がありました。
ウクライナの兵力は、約20万人。
ロシアは約90万人。
ウクライナの軍事費は、43億ドル(約5000億円)。
ロシアは、622億ドル(約7兆円)。
「3日でキーウは制圧される」と言われていましたが、ドローン等の戦闘により4年以上、ウクライナが抵抗し続けています。
重要施設への攻撃もありました。
モスクワから北東約280キロにある石油施設です。
ウクライナのドローン攻撃の後に火災が発生しました。
攻撃によるものとみられます。
「開戦当初には見られなかった1000キロ以上の長距離を飛ぶドローンが増え、戦況に大きな影響を与えている」
戦い方が短期間で次々変化しています。
どちらかが、ドローンを攻撃に使用すると、攻撃された相手は、ドローンに妨害電波を当てて、飛行不能にする攻撃を行うようになります。
すると、今度は妨害電波の対抗措置として、光ケーブルでつないで動かす、有線ドローンを使用。
この光ケーブルは長いものでは数十キロに及びます。
有線ドローンを使用した結果、光ケーブルが蜘蛛の巣のように森を覆ってしまいました。
イランの戦闘では、『シャヘド136』というドローンが使われています。
1機約550万円です。
迎撃の費用対効果です。
イランは戦闘開始以降、2100機を超えるドローン攻撃と680発以上の弾道ミサイルを発射しています。
アメリカ軍や湾岸同盟国は迎撃のために、1000発以上のパトリオットミサイルを発射しています。
ドローン1機約550万円に対して、パトリオットは1発6億円超です。
コストが大きく釣り合っていない『非対称の戦闘』になっています。
アメリカの迎撃システムに危機が起きていると言われています。
複数の情報筋の話によると、ミサイル防衛システム『THAAD(サード)』の迎撃弾を8割消耗し、パトリオットミサイルの5割を消耗しているといいます。
トランプ大統領は迎撃ミサイルが枯渇する懸念から、イランへの大規模攻撃を先送りにしているといいます。
■日本の防衛 迎撃用ドローン導入に向けた動き どう守る?
日本の防衛体制についてです。
「ドローンや無人機が北朝鮮から向かってくることは決して非現実的なことではない」と述べました。
「数十万円のドローンを数十億円のミサイルで撃墜する。守る側にとって割に合わない」と話しました。
現在、日本がドローンを迎撃する場合、元陸上自衛隊の山下さんによると、短距離ミサイルや近距離ミサイルで対応することになる、ということです。
短距離ミサイルは、1式で約47億円。
近距離ミサイルは、1式で約9億5000万円です。
他にも、電波妨害や機関砲、機関銃も使用するということです。
防衛省の2027年度予算です。
複数の関係者によると、2027年度の予算編成に向けた概算要求で、過去最大となる、約8兆9000億円を計上する調整に入ったということです。
迎撃用ドローンの配備や自衛隊の指揮統制に活用する人工知能(AI)の導入など、『新しい戦い方』への対応を柱に据えるということです。
迎撃ドローン導入に向けた動きです。
防衛装備庁は、6月、『迎撃ドローン早期取得プログラム』を公募。
38社から提案があり、実証試験に4社が選定されました。
8月下旬に調達契約を結び、9月をめどに納入する予定だということです。
「我が国としても、『新しい守り方』として比較的低コストの迎撃手段も活用しながら、空からの脅威に効率的に対処できるようにすることが必要だと考えている。迎撃ドローンも、そのための有力な選択肢の一つ」と話しています。
日本の新しい防衛構想です。
大量の無人機を配備する、『SHIELD(シールド)』という沿岸防衛体制を構想しています。
2026年度予算で、約1001億円を計上しています。
沿岸防衛体制『SHIELD(シールド)』とは、情報収集を行うドローン、攻撃・迎撃を行う小型ドローン、水中を移動する無人機、無人の水上艇、など10種類以上のドローン・無人機を組み合わせるもので、2027年度中の実現を目指しています。
■日本取り巻く安全保障の実態 中国や北朝鮮は軍備拡張
日本を取り巻く、安全保障の実態です。
北朝鮮です。
2025年3月、金正恩総書記が新たに開発された自爆ドローンを視察する姿が報じられました。
さらに、2025年6月には、ロシアが北朝鮮に戦闘用ドローンの生産に関する技術を提供しているという証言もあります。
ウクライナから『新しい戦い方』を学びます。
北朝鮮兵士が、ウクライナとの戦闘を通じてドローンなどの使用を含む『新しい戦い方』を経験。
ウクライナとの戦闘で得られた教訓が将来的に北朝鮮軍全体に普及する恐れがあると今回の防衛白書で指摘されています。
中国です。
2026年度の国防予算は、約40兆1008億円。
1996年度からの30年間で、約27倍に膨らんでいます。
中国は2025年12月、新型ドローン『九天(きゅうてん)』の初飛行に成功。
航続距離は、7000キロで、飛行時間は、最長12時間です。
九天は、自爆ドローン100機を空中発射することが可能で、『ドローン空母』と呼ばれています。
自衛隊の規模や能力についての世論調査です。
内閣府の世論調査です。
自衛隊の規模や能力について、「今の程度でよい」が、50.1%、「増強した方がよい」が44.7%で世論は二分しています。
「既にドローン抜きで防衛は考えられないのが世界の共通認識。アメリカ中心の国際秩序が崩壊の危機に直面している中、日本周辺では中国や北朝鮮が急速に軍備を拡張している。その中で、日本は自立性と抑止力を高め、巧みな外交を展開することが重要」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年8月10日放送分より)

















