政治

ABEMA TIMES

2026年8月13日 07:30

「ガス抜きにもならない」 パブコメ5300件、反対殺到も修正ナシ…一体なぜ?元官僚が指摘する“制度の欠陥”

「ガス抜きにもならない」 パブコメ5300件、反対殺到も修正ナシ…一体なぜ?元官僚が指摘する“制度の欠陥”
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 8月から施行された高額療養費制度の見直しをめぐり、厚生労働省が実施したパブリック・コメント(パブコメ)に約5300件もの意見が集まった。その多くが見直しへの反対意見だったものの、政府は修正に応じることなく施行に踏み切った。ネット上では「反映しないなら何のためにやってるの?」「アリバイ作りで国民の声を聞く気がない」といった不満や批判が噴出している。

【映像】パブリック・コメントとは?

 パブコメは、国民の声を聞くための制度として機能しているのか、どうアップデートすべきなのか。『ABEMA Prime』では、パブコメを実施した経験もある元官僚と考えた。

■元官僚が明かす“パブコメの裏側”

パブコメを募るのが遅い?

 パブリックコメントは、2005年に法制化された制度で、行政が新しいルール(政令や省令)を定める際に、事前に広く意見を募る仕組みだ。

 制度化の背景には、政令・省令づくりを担う有識者会議(審議会)への批判があった。かつては有識者会議で固めた方針を官僚が条文に落とし込む形で、政令・省令が作られていた。だがこの会議が「結論ありき」で密室性が高いと問題視される。そこで導入されたのがパブコメ制度だった。

 しかし、これは“表向きの理由”にすぎない、そう語るのが、元官僚の石川和男氏だ。石川氏によると、内容は有識者と官僚による事前議論の段階で“99%”中身が固まっており、いざ施行直前の最終段階で意見を募っても、そこから修正が入ることはまずないという。

 国・自治体のパブコメ制度を調査研究する四日市大学の松井真理子教授は、制度が抱える課題を指摘する。まず一番の問題として、意見を聞く募集のタイミングが遅すぎる点だ。方針が固まった段階で意見を聞いても政策に反映されることはないため、真面目に意見を出した人ほど強い無力感を抱いてしまうという。

 さらに、認知度の低さも深刻だという。制度自体を知らない人がほとんどであり、関心の薄いテーマでは「パブコメ0件」も珍しくない。また、提示される資料や募集ページが漢字や専門用語ばかりで「分かりにくすぎる」ため、国民が内容を理解して意見を出すこと自体のハードルが高い。募集期間も基本的には30日間程度と短く、提出された意見に対するフィードバックも欠けているため、本質的な批判意見ほど聞き入れられないという実体験を語った。

■国民の声を反映させるアップデート案は

 形式的な「アリバイ作り」を脱し、国民の声を行政や政策に届けるにはどうすればよいのだろうか。番組内では具体的な改善策についての議論が交わされた。

 松井氏は、イギリスの「グリーンペーパー(政策構想書)」のような取り組みを例に挙げ、官僚や専門家が方針を完全に固めてしまう前の「構想の初期段階」から広く意見を聞くルートを作るべきだと提唱した。また、障害のある人や高齢者、外国人など普段声を上げにくい人々に対しても多様な意見を丁寧に拾い上げる姿勢が必要だと訴えた。

 一方、石川氏はテクノロジーの活用と既存の対話プロセスの融合を提案した。審議会のインターネット中継などを通じてリアルタイムで国民からコメントを収集し、それをAIで分析・整理した上で、国会の議論や附帯決議に反映させるようなルール化をしなければ「ただのガス抜きにもならない」と述べた。

 また、寄せられた意見に対する行政側の向き合い方について、コラムニストの小原ブラス氏は「専門家がパブコメで来ている多くのことに答えを持ってるんだったら、『このパブコメでトップ3はこれでした。それぞれ専門的にはこういう反論があるので今回は採用できません』などと発表するだけでだいぶ納得できる気もする」とアイデアを語った。

 さらにパブコメの周知や分かりやすさについても議論が及んだ。歌手・タレントの當間ローズ氏が「パブコメのホームページは漢字ばかりですごく分かりづらい」と難解さを指摘すると、石川氏は「官僚は厳密さを求めるあまり伝わらない表現になりがちだ。国会議員はテレビなどで分かりやすく伝えられる。分かりやすさを生業にする人にやらせないと伝わらない」と、メディアや専門職による広報の重要性を強調した。

(『ABEMA Prime』より)

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