同盟国アメリカだけに頼らない考えからだろうか。日本は安全保障面で「同志国」との連携を強めている。そして、防衛省が打ち出す、ドローンやAIなどを活用した「新しい守り方」とは。
「同志国」と連携強化
まずは同志国について見ていく。
4日に公表された2026年版の防衛白書でも「同志国などとの連携」という章で、日本の安全保障について「同盟国のみならず、1カ国でも多くの国々と連携を強化することが極めて重要」だと、同志国を重視する考えを強調している。
この同志国とは何なのか。茂木敏充外務大臣によれば「一般的に外交課題において目的を共有する国を指す」といい、相互防衛義務などを持つ同盟国とは異なる位置づけの国だという。
日本は、この同志国との連携強化のために、さまざまな協定を結んでいる。
例えば、共同訓練などのために相互に往来しやすくする「円滑化協定」は、オーストラリア、イギリス、フィリピンの3カ国と締結していて、燃料や弾薬などを提供しあうことを可能にする「物品役務相互提供協定」は8カ国と締結している。
そして、日本からの防衛装備品の輸出を可能にする「防衛装備品・技術移転協定」は18カ国と結んでいて、ここには今回、小泉進次郎防衛大臣が訪問するオーストラリア、インドも含まれている。
“準同盟国”との安全保障協力も加速
そんな中でも特に重要視しているのが、“準同盟関係”の日本とオーストラリアの関係だという。
5月、高市早苗総理大臣はオーストラリアのアルバニージー首相と会談した際、「日本とオーストラリアはいわば準同盟国」だと両国の関係性の強さを改めて強調している。
日本とオーストラリアは、それぞれがアメリカの「同盟国」であり、同じ価値観を共有する「特別な戦略的パートナー」だとしている。
さらに2023年からは日本とアメリカが図面上で行う作戦演習「日米共同方面隊指揮所演習」にオーストラリアが正式に参加するようになった。
また、2024年9月には日本とオーストラリアが相互の統合司令部に連絡官を派遣することや、日本とアメリカが共同で情報分析する組織にオーストラリアの要員を受け入れることを決定するなど、安全保障面での協力も加速している。
また、オーストラリアは日本の「もがみ型護衛艦」11隻を採用予定で、日本で最初の3隻を建造した後、オーストラリアで現地生産に移行することが計画されている。
日米豪印に“すきま風”?
日本が目指す「自由で開かれたインド太平洋地域」の実現で、カギを握ると言われているのがインドだ。
日本やインドを含む協力枠組み「クアッド」の間にすきま風が吹いているとの指摘が出ている。
インドは伝統的に特定の国と同盟を結ばない「全方位外交」を掲げているが、世界一の人口と高い潜在的経済力、そして日本と中東・アフリカを結ぶ主要な海上交通路のほぼ中央に位置するなど、日本が関係性を重視している国の一つでもある。
そのインドは日本の艦艇用通信アンテナ「ユニコーン」を購入するとしていて、今回インドを訪れる小泉防衛大臣はシン国防相と会談する予定だが、ユニコーンの輸出や無人機の共同開発などについて意見を交わす見通しだという。
日本とインドは友好的な関係を続けているが、日本、アメリカ、オーストラリア、インドという4カ国の協力枠組み「クアッド」については2年近く首脳会合が開かれていない。これは関税問題などによるアメリカとインドの関係悪化などが原因とみられている。
こうした中、6月には、アメリカの国防総省が在日アメリカ軍も指揮下に持つ「インド太平洋軍」という名称を「太平洋軍」に変えた。
一方、インドメディアによると、インドの野党党首は「クアッドの棺おけにまた1つ釘が打たれた」と話すなど、クアッドが機能不全を起こしているとアメリカを批判している。
国産ドローン活用に注力
防衛省は日本独自の「新しい守り方」という防衛戦略を打ち出しているが、大きな柱の一つはドローンだという。
ロシアとの戦闘が続くウクライナではドローンの生産が加速していて、今年の年間生産台数は700万機を見込んでいて、これは2022年の1200機と比べて5800倍に上る。
また、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、今年の春に行われたアメリカ軍とウクライナ軍の共同訓練で、重装甲車など最新の装備を持つアメリカ陸軍の機甲旅団と、ウクライナ軍のドローン部隊との模擬戦闘が行われ、アメリカ陸軍が瞬く間に“全滅”したという。実弾を使ったわけではなく、ドローンがアメリカ軍側の車両の上空などに到達した時点で“撃破した”と判断された。
そんな中、日本は「新しい守り方」の一つとして迎撃ドローンの活用に力を入れるとしている。
2026年版の防衛白書で打ち出されているのが、ドローンを使った新たな防衛構想「シールド」で、情報収集や迎撃、または攻撃用のドローンのほか、水上・水中移動用の無人機など、10種類のドローンを配備して防衛力強化を図るという。
また、防衛装備庁は迎撃ドローンの導入に向けて民間にも呼びかけて実証実験を進めている。
その実証実験にも参加している「テラドローン」という企業はもともと産業用ドローンのメーカーだったが、今年6月にウクライナの迎撃ドローン開発企業を買収した企業だ。
テラドローンの「Terra A1」という機体は、遠隔操作型の迎撃ドローンで、現地ウクライナでは約40万円で取引されていて、機体は3Dプリンターを使って約4時間で製造できるという。
このドローンに爆薬やエンジンが搭載される。打ち上がったドローンは、最高時速302キロと、新幹線並みの速さで飛行する。そして目標に後ろから接近して迎撃する。
指揮統制にAI導入へ
ドローンに加えてAIも、戦争の形を変えたと言われている。
アメリカはイラン攻撃にもAIを使用していると明かしている。
アメリカがイランへの攻撃に利用しているのが、「メイブン・スマート・システム」と呼ばれるAIだ。衛星やドローン、レーダーなどが集めた情報をAIが解析し、「攻撃すべき標的」「標的までの時間や距離」「最適な攻撃手段」などが提案され、人間は「提案を選んで攻撃を承認」するだけだという。
UAEのシンクタンクの調査によると、このAIの使用によって328人の専門家が100日かけて解析する情報量をわずか90分で処理できるようになったといい、アメリカメディアによると、イランへの攻撃が始まってから38日間で1万3000カ所の目標選定にAIを使ったという。
防衛省は、自衛隊の指揮統制にAIを活用し、指揮官らの判断を支援するシステムを導入する方針を固めたという。
アメリカ企業の軍事用AIシステムを導入する方向で検討しているが、国産のAIシステムを導入する案なども検討しているという。
(2026年8月17日放送分より)






