政治

ABEMA TIMES

2026年8月25日 11:30

【政局解説】“チーム高市”再編か 同時に水面下で進む「ポスト高市」レース キーマンたちの思惑と9月内閣改造

【政局解説】“チーム高市”再編か 同時に水面下で進む「ポスト高市」レース キーマンたちの思惑と9月内閣改造
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 高市早苗総理の自民党総裁任期が残り1年に迫り、“ポスト高市”をめぐる動きが水面下で出始めているという。

【映像】ポスト高市をめぐる相関図(顔写真あり)

 高市総理には「無投票再選を目指しているのでは」との声もあり、来月にも行われるとみられる内閣改造や党役員人事にも、その影響が出る可能性がある。

 政権周辺の動きについて、ジャーナリストの青山和弘氏が解説した。

靖国参拝した進次郎氏と、“遙拝”した高市総理

 まずは8月15日、終戦の日の靖国神社参拝をめぐる対応だ。「高市氏は総理になる前から『総理になっても参拝する』と言っていたが、遙拝(ようはい)というやり方をとった。安倍晋三総理の時代から『こういうやり方もある』と取材で聞いていたが、敷地内に入らずに、距離のあるところから、靖国神社に向かって手を合わせ、“二礼二拍手一礼”する」。

 しかしながら、「これは参拝とは言えない。ならば自宅からやってもいい。これができるなら、お墓参りもお参りする必要もない」「だから中国側なども抗議はしていないが、逆に“遙拝”を公表しなければいけないぐらい、行かないことに対する批判を恐れたと言える」。

 対照的なのが、小泉進次郎防衛大臣だ。「初当選以来、ずっと8月15日に参拝してきたが、今回防衛大臣になった。自衛隊は軍ではないが、海外からは軍と見られている。そのトップが、旧日本軍による軍国主義の中心的な施設だった靖国神社に行くのは、意味合いが全然違う。『果たしてまた行くのか』と思ったら、ある意味堂々と参拝して、高市首相とは全く対応が分かれた」。

支持率低下の要因は?

 内閣支持率も低下している。ANN世論調査によると、7月は支持する49.2%(6月は60.1%)、支持しない34.8%(同23.0%)だった。「8月の調査結果はこれからだが、国会が開いていた6〜7月に10ポイント以上も下がった。49.2%はまだ高いという見方もできるが、他社の世論調査を見ても、下降トレンドにあるのは間違いない」。

 急降下の理由として「高市氏は女性初の総理で、『今までと違うやり方をやるのでは』と期待感がものすごく高かった。実際に違うやり方をやってきたところがあったが、国会終盤に『物価高対策をやると言っていたのに、消費減税をなかなか決めない』や、『強引な手法で皇室典範改正、国旗損壊罪といった、自分のやりたい右寄り政策ばかりにかまけている』という批判もあり、女性や若手中間層・無党派の支持が離れた」。

内閣改造のポイントは「幹事長」「財務大臣」「旧安倍派」

 9月にも行われるとみられる内閣改造で、「チーム高市」の体制はどうなるか。「高市氏は麻生太郎副総裁の後ろ盾で総理になったため、連携が大事だ。しかし今国会、皇室典範を優先したい麻生氏と、維新との連携を優先したい高市総理の間にスキマ風が吹いた。鈴木俊一幹事長は、麻生氏の推薦で党をグリップするナンバー2に就いているが、高市総理と現実的に仲のいい萩生田光一氏に変える案もあり、そうなれば麻生氏との関係が切れるのではと注目されている」。

 加えて、前回の総裁選で戦った進次郎氏、林芳正総務大臣、茂木敏充外務大臣、小林鷹之政調会長の処遇も注目だ。「来年の総裁選に向けた人事にもなるため、扱いが非常に難しい」。

 重要閣僚についても「円安や物価高もあり、片山さつき財務大臣をどうするのかが大きなポイントになるのではないか。高市総理に近い人には旧安倍派が多く、たくさん登用すると裏金問題の記憶が新しいなか、『裏金内閣』と批判されて、支持率がまた下がる可能性もある。まだ自民党に復党していないが世耕弘成氏らを使うのか、使わないのかもポイントになる」とみる。

“進次郎人気”が抱える高市政権のジレンマ

 なかでも“ポスト高市”として有力と言われるのが進次郎氏だ。「防衛大臣として高市総理を支えているが、一方で ここで高いポストに就けると、高市内閣の支持率が下がったとき、代わりに進次郎氏が成長するというジレンマを抱えている。一番無難なのは防衛大臣の続投で、新しい経験を積ませず、野に放って準備もさせないため、続投の可能性が高い」。

 一方で、林氏は「次の総裁選にも意欲があり、『このあたりで距離を取りたい』と周辺に漏らしているようだ。高市総理が閣外に出すのか、別のポストを用意するのか。この辺りが焦点になる」と予測する。

 党三役をめぐっては「幹事長がまず変わる可能性がある。小林氏も政調会長という党の政策を一手に引き受けている立場だが、高市総理は『元は仲間だっただけに、総裁選に対抗馬として出てきた』ことに微妙な感情を持っている。全体を見る政調会長ではなく、1つの閣僚に抑え込むのではないかというのが焦点の一つ」と考える。

進次郎氏が「右寄り」に見える理由

 進次郎氏はこのところ、核について踏み込んだ発言を行っており、「リベラル寄りの印象があったが、かじを切ってきたのには、何か思惑があるのでは」との声もある。これに青山氏は「前回総裁選では、高市氏の最大のライバルとして保守層から『ポエムだ』とたたかれたが、『覚醒した』と評価が反転した。進次郎氏は自分の役割に一生懸命な人だ。環境大臣の時はレジ袋有料化、農水大臣になれば備蓄米放出したり。今回も『防衛大臣は国防を強くする』と思っているのは間違いなく、その行動が保守層から評価されている」と返す。

 そして、「進次郎氏自身は『変わっていない』と思っているが、今まで悪口を言ってきた人たちが、急に味方になると正直うれしい。そう言うところが、勢いが増しているように見える。それを高市総理がどう評価するか。逆に右に寄りすぎて、本来の支持者が離れている部分もあるかもしれない」と語る。

 では、進次郎氏の“軸”は、どこにあるのだろうか。「非常に一生懸命な人だが、経験不足なところがある。まだ『いただいたポジションで一生懸命やっている』という段階なのではないか。全般をみて、国家観を持っての部分はまだ足りないなと思う人はいるのではないか」。

9月人事の注目は「維新の入閣」

 そもそも、総理の人事の裁量とは?「高市氏は人に相談しないで決めるだろう。総理大臣の人事権はある意味、聖域だ。これまでは、派閥の領袖などに相談して、意見を集約するタイプの総理もいた。一方で高市氏は、進次郎氏の父・純一郎氏も、安倍晋三氏もそうだったが、基本的には人に相談しないため、読みにくいところがある」。

 内閣改造や党役員人事は、なぜ9月に行われる可能性が高いのか。「党役員の任期が毎年9月のため、それに合わせて変える。ただし高市政権は発足して1年もたっていないため、全員続投になることもあり、過去にそういう例もあった」。

 しかしながら、「高市総理は今回、維新から1人閣僚を入れて、自維連立を強くしようと思っている。チーム高市の立て直しも必要だ。国会が混乱して、党や霞が関との関係もギクシャクしたため、立て直しという意味で9月は断行するだろう。ただ、全員ひっくり返すようなことにはしない。確実に留任するであろう木原稔官房長官と相談しながら決めていく」と予想する。

 維新入閣時のポストは、どこが考えられるか。「一つ言われているのは総務大臣。大阪都構想や副首都構想は地方分権の話で、担当するのは総務大臣。閣外に出たいと周辺に言っている林氏とも、きれいに入れ替わる。ただ一方で、総務大臣はNHKや電波行政、郵便など大きな権限を持っている。地方自治の影響も考えると、維新に渡すには重すぎる。省庁を持たない“副首都特命担当大臣”などにする案も浮上している」。

総裁選での“ライバル”は、どう動く?

 来年の総裁選に向けては、すでに水面下で動きが出ている。「林氏の考えが、1年後を考えているのは間違いない。茂木氏はある意味国民から人気のあるタイプではないため、高市総理は警戒対象にしていないところがあり、外務大臣続投の可能性もある。進次郎氏や小林氏のような若い人をどう処遇するか。今回の人事が、来年の総裁選をむかえる人事になるので、大きなポイントだ」。

 進次郎氏の周辺には「防衛大臣を辞めて、準備した方がいい」という声もあるというが、「本人は防衛大臣にやりがいを感じていて、本人から『辞めたい』とは言わないだろうと見られている」。

 人事構想については「高市総理は、もう考え始めている」ようだ。「『お盆は忙しくて考えられなかった』と周辺に言っている。つまり本当は、もっと早く考え始めたかった。お盆が明けて、熊本地震も少し落ち着いたため、考え始めているだろう。ただ、沖縄県知事選や、消費税の問題もこれから細かいところを決めていく。みんなの動きを見ながら、ギリギリまで悩むことになると思う」。

進次郎氏の思惑推測「リベラル政策の根っこは変えていないだろう」

 進次郎氏は最近、“岩盤保守層”からの評価が高まりつつあるが、過去発言との整合性もあり、本心はどこにあるのか。「『核兵器をタブー視すべきでない』のような強気な発言で評価されているが、夫婦別姓や環境政策など、リベラル政策の根っこは変えていないだろう。今は防衛大臣だから何も言わないだけだ」。

 こうした背景から「自分の考えは変えていないが、防衛大臣としての実績は残る。そこを保守派がどう評価するかが、総裁選に向けたポイントになるだろう。またこの間、高市総理への攻撃を一切していない。自分の誹謗中傷動画が作られた疑惑が報じられても、何も言っていない。“後継者になり得るポジション”を作ろうという意味で、進次郎氏は非常にガマンしているのではないか」と評する。

 進次郎氏に“参謀”は存在するのか。「何人か支えてくれる人はいるが、強力なブレーンがいるわけではない。日程管理を仕切る秘書はいるが、基本的には自分で自分のあり方を考えている。総裁選が近づくと“仲間”が寄ってくるため、そこをうまく整理していくかも問われるだろう」。

小林氏との「若手リーダー」を争い

 進次郎氏と小林氏の距離感については、「ものすごいライバル関係にある。進次郎氏は小林氏をものすごく意識している。進次郎氏の方が年齢は若いが、当選回数は1回上。『若手のリーダーは自分だ』という意識があり、小林氏が出ようとすれば、進次郎氏も出たいと言うだろう。2人が収まると、林氏がどうするかわからないが、無投票再選に近づくかもしれない。その時の政治状況がどうなるかは大事だ」と説明する。

 総裁選の前には、来年4月の統一地方選がある。「福岡県議会の話もあるが、自民党に対する批判が強まった場合には、統一地方選で負ける可能性がある。そうなれば、『総裁選をちゃんとやろう』という声も出てきて、林氏や進次郎氏のチャンスが出てくる。逆に、統一地方選をうまく乗り越え、内閣支持率も50%割るか割らないか程度にとどまれば、高市総裁が狙う無投票で再選、総裁選自体無くしてしまえという声が強まるかもしれない。やはり今後の高市総理のパフォーマンスが重要になってくる」。

(『ABEMA的ニュースショー』より)

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