2027年4月から2年間、食料品の消費税率が1%になる予定ですが、政府はその財源を明らかにしていません。
食料品減税によって不足する、2年で10兆円の財源として、法人税を増税する案が浮上しています。
■食料品減税 2年で10兆円“穴埋め”に『法人税増税案』浮上
消費税の減税に伴う痛みです。
政府は2027年4月から、食料品の消費税率を2年間限定で『8%』から『1%』に減税する方針です。
消費税は、年金、医療、介護、子育て支援などの財源となっていますが、食料品の消費税率が引き下げられると、2年間で約10兆円の税収が減るとされています。
財源に穴が開くことを、世論はどう感じているのでしょうか。
ANNが8月におこなった世論調査によると、消費減税が国の財政に与える影響を「大いに懸念する」、または「ある程度懸念する」と答えた人が大半を占めています。
合わせると、7割が影響を「懸念する」という結果でした。
財源を確保するために、注目し始めているのが、法人税です。
与党からも、法人税の増税に言及する議員が出始めています。
「法人税どうなんだ、金融所得課税どうなんだということを、批判覚悟で議論するのがこれからではないか」と述べて、法人税増税の議論する必要性に言及しています。
「法人税を上げるとか、何かそういう恒久財源を見つける中で、この2年間ということを言うのであればわかる」と発言。
2年間の消費減税で不足する財源を穴埋めする手段として、法人税の増税を例に挙げました。
では、法人税は、国の税収のどれくらいを占めているのでしょうか。
2025年度の国の一般会計税収をみると、『消費税』『所得税』に次いで、『法人税』は21兆7000億円でした。
この『消費税』『所得税』『法人税』が税収を支える“3本柱”となっていますが、2027年4月からの消費減税で失われる、年間5兆円の『消費税』を『法人税』で穴埋めしてはどうか、という案が、いま浮上しているということです。
■『法人税増税案』に賛否「すでに高い」賃上げへの懸念も
法人税の税率は原則23.2%で、一律の税率を適用する単一税率です。
一定の要件を満たす中小企業などは、年800万円以下の所得の部分に15%の軽減税率が適用されています。
法人税の増税について、賛成の声です。
「大企業の法人税は上げるべき。財源確保の面でもそうだが、世の中のお金を適切に回すことは必要」
反対の声です。
「日本は既に法人税が高いのに、さらに上がれば、国内企業が海外に流れ、海外企業の参入も少なくなる。経済成長の面でよくない循環」だといいます。
国際比較でみた『法人実効税率』というものがあります。
『法人実効税率』とは、国税である法人税に法人住民税などの地方税を合わせた税率です。
日本の『法人実効税率』は29.74%で、G7で比較してみるとドイツに次ぎ2番目に高い税率です。
法人税の増税について、経済界の声です
「実効税率はかなり高いと認識している。さらに法人に財源を求めるということは、投資牽引型経済の確立や企業の国際競争力という観点から賛成できない」
「賃上げへの影響や国際競争力をそぐ可能性があるかもしれない。ただ、その影響が軽微であれば、財源の選択肢としてあると思う」
■法人税『累進課税案』 江田氏が提言「6兆円税収増」
「単一税率を採用しているが、『租税特別措置』などは大企業ほど適用されるケースが多いため、税負担が軽くなっている」
この『租税特別措置』とは、環境改善や技術振興などを進めるため設けられる税の優遇制度で、例えば、新技術の研究・開発や、設備投資を進めた企業の法人税を一定額控除するなどの制度がありますが、主に大企業が活用しやすいということから、『大企業優遇税制』だという声もあります。
こうした減税措置を加味した、実際の法人税負担率です。
資本金が10億円以下の企業までは資本金の規模に応じて負担率も上がっていますが、10億円を超える企業からは負担率が低くなっています。
「単一税率ではなく、中小企業は低く、大企業は高い『累進課税』にするべき。例えば、『4段階の累進課税』にする」
『4段階の累進課税』とは、江田さんの案では、企業の所得に応じて税率が4段階に分かれていて、
・2000万円以下の場合、税率10%、
・5億円以下の場合、税率20%、
・10億円以下の場合、税率30%、
・10億円を超える場合、税率40%です。
江田さんの試算では、2000万円以下の区分で年2兆円減税、5億円以下の区分で年0.7兆円の減税になる一方で、10億円を超える区分では、8.6兆円の増税となります。
「全体で年間6兆円ほどの税収増になる。所得が10億円を超える企業は全体の0.2%ほどだが、法人税の半分を担っているため、増税によるインパクトは大きい」といいます。
法人税ついて政府の見解です。
日本政府は『法人税に累進課税を採用していない理由』について、
▼税負担を回避するために会社分割を行う可能性があることや
▼法人税制は企業規模・形態に対して中立的であることが望ましい
などの理由から、累進課税ではなく単一税率を採用しており、
「法人に対する累進税率の適用には課題があるのではないかと考えている」としています。
■法人税減税の実態 賃上げにつながらず?膨らむ『内部留保』
法人税の減税には、メリットがあるのでしょうか。
企業の手元に残るお金が増えるので、賃上げが進んだり、新たな投資が生まれたりすることが期待されます。
また、法人税率が低いと企業がビジネスをしやすくなるので、外資企業の日本への進出が増えて、これらの結果、日本の経済が活性化するとされています。
そんなメリットに期待して、日本の法人税は減税されてきました。
1980年代には40%台でしたが、税率は段階的に引き下げられて、現在では23.2%です。
近年では、安倍政権の経済政策『アベノミクス』で法人税の減税が、成長戦略の目玉とされました。
「重要なことは、企業の収益拡大が賃金の引き上げ、雇用の拡大につながっていく景気の好循環を生み出すことだ」と、法人税を減税する狙いを語っていました。
では、効果はあったのでしょうか。
IMF=国際通貨基金がまとめたレポートでは、
法人税負担の軽減は、企業の収益を改善させたが、投資を増加させるのに効果的ではなかった。
企業は投資や賃金を増加させず、現預金保有に回した。
今後は幅広い法人税減税には慎重になるべき
として、法人税の減税は賃上げや新たな投資に繋がっていないと分析されています。
一方、企業の『内部留保』は、どれくらい増えているのでしょうか。
棒グラフが企業の内部留保ですが、2025年度は654兆円となっていて、この20年で約3倍に増えています。
一方、折れ線グラフは社員に払う給料などの人件費です。
2025年度は235兆円で、ここ数年は緩やかに増えていますが、内部留保の増え方に比べると、“横ばい”となっています。
「大企業優遇ではなく、負担できる者が負担する税制への改革を」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年9月2日放送分より)
















