イランの首都テヘラン上空を撮影したとされる映像が「UFOが写っているのではないか」と、Xで話題になった。フェイク動画があふれる時代、ネット上では冷めた反応も多いが、近年は未確認異常現象「UAP」として、安全保障の観点からも真剣に議論されるようになっている。
『ABEMA Prime』では、「UFO議連」会長補佐の元衆院議員の浅川義治氏と、現役時代に遭遇した可能性があると語る元航空自衛隊の空将・永岩俊道氏とともに、UFOが安全保障にとって何を意味するのかを考えた。
■テヘランの映像は「凧か無人機」か

アメリカ国防総省は5月、UFOを含む未確認異常現象「UAP」の映像を公開。連邦議会でも公聴会が開かれ、米軍の元パイロットらが目撃を証言し、政府が情報を隠していると訴える場面もあった。日本でも2024年、UAPの情報収集や分析をする専門機関の設置を国に求める超党派の議員連盟、通称「UFO議連」が発足している。
テヘラン上空の映像について、永岩氏は「情報源であるファルス通信は、軍の報道機関だ。位置づけを踏まえて観察しなければ」と切り出す。「民間航空のレーダーにも映っておらず、実際の高度も、雲の高さも分かってない」。
その上で、「軍用機なら右にグリーン、左にアンバーの航法灯をつけるが、これはRGBの点灯のようだ。軍事的であればこんなにぎやかなものは飛ばさず、レーダーに映らないものを使うはず」と分析。「凧か、そうでない高度なら無人機、ドローンだろう」と述べた。
浅川氏も「現地には凧揚げの場所もあるという」としつつ、「もしそうだとすると、なぜイランがこれについて言及しないのか疑問なため、UAPの可能性は残る」と補足した。
■「UFO問題の最終は人権問題だ」

UFOとUAPの違いについて、永岩氏は「UFOは飛行物体だが、UAPは現象を指す。気象状況でそう見える場合など、物体以外も含めてくくらないと説明できなくなるため、アメリカが『UAP』と言うようになった」と説明する。
実は自身も現役時代、日本海上空の高度約3000mで、灰色の円錐形の物体を見た経験があるという。「後ろの編隊に注意喚起して、ひっくり返してもう一度見ようとしたが、見つけられなかった。上級指令部には『大気観測用のバルーンがしぼんで降下していたのではないか』と報告し、UFOという扱いにはしなかった」と振り返る。
浅川氏も中学2年生のころ、自宅前で月より大きい「立方体の真っ黒な塊」を目撃したと明かす。「300〜400メートルの高さで、当時テレビなどで取り上げられていた葉巻型やアダムスキー型のUFOとは違った。風船でもヘリでも飛行機でもなかった。後から考えるとUFOとしか思えなかった」。
そうした経験を振り返りつつ、「UFO問題の最終は人権問題だ」と強調する。「これまでテレビでUFOの話をする人はバカにされてきた。そうした現象が存在することが確認されたにもかかわらず、バカにされた方や、民間のパイロットで左遷された方の名誉を回復しなければ、問題は解決しない」と語った。
■日米で異なる情報公開のスタンス

アメリカでは、2017年にニューヨーク・タイムズが「国防総省がUFO調査に予算を投じていた」とスクープしたことで潮目が変わった。2026年に入りトランプ大統領の指示で、UAPに関する政府の機密ファイルや映像が相当数公開されている。
永岩氏は「トランプ大統領は官僚機構が嫌いだ。国防総省やNASAが持っていたUFO関連情報を公開させ、ディープステートを壊すという狙いと、中国やロシアに対する暗黙のブラフになっている。『これだけの情報を集めて調査している』と示すこと自体、米国上空に変な物体を飛ばせないというメッセージになり得る」と読み解く。
日本政府のスタンスについて、浅川氏は「防衛大臣や官僚の答弁では、『国民に説明するべき時が来たら説明する』としている。つまり情報はあるが、まだ説明する必要がないという立場だ」と指摘。また、原発上空に現れた正体不明の光について、佐賀県警が 「航空機の光をドローンと勘違いした可能性が高い」と説明した事例にも触れ、「こういう問題を何とかするのは本来、政治の仕事だ」と訴えた。
また、2023年に中国の偵察気球とみられる物体をアメリカが撃墜した件にも触れ、永岩氏は 「それ以前にも 何機も偵察気球が通っていたが、防衛省は安全保障に影響を与える物体として認知していなかった」と指摘した。さらに浅川氏は「『UFO』と言うと宇宙人が前提になってしまうが、そうではなく、何か分からないものに対して、安全保障上どう対応するかが問題だ」と述べた。
永岩氏は「あの偵察気球以降、対領空侵犯措置で撃墜できる枠組みが了解された。パラダイムシフトしている」と指摘する。加えて「航空自衛隊のパイロット仲間でも、そういう(目撃)経験をした者は何十人もいる。ただ、これまではUFOとしてファイルする概念がなかった。今後は変わると思う」と話した。「年度末に『航空自衛隊』は『航空宇宙自衛隊』になる。UAPも含めた形で、日本上空の安全を守る役割を担うため、ぜひ期待してほしい」。
(『ABEMA Prime』より)