きっかけは偶然見つけた…微生物から病気治療薬[2015/10/06 11:47]

 今回、ノーベル賞を受賞した北里大学・大村智特別栄誉教授(80)の功績です。そのきっかけは、静岡県のゴルフ場近くの土壌で偶然、見つけた物質でした。これは寄生虫などを駆除する効果があり、「イベルメクチン」という薬の開発につながります。この薬は熱帯で流行している失明の恐れがある病気にも効果があることが分かり、現在ではアフリカなどで年間、3億人が使っています。

 大村さんが1979年に発見した物質をもとに開発されたイベルメクチンは元々、動物の寄生虫に対する薬でした。しかし、その後、ヒトでも効き目があることが分かり、熱帯地方の寄生虫病の一種で、失明にまで及ぶ「オンコセルカ症」という病気の治療薬につながりました。この薬は1987年から無償で提供され、病気に苦しめられていたアフリカや南米の貧しい人を救いました。今では毎年、約3億人が服用していて、病気の撲滅がアフリカでは2020年に、南米では2025年に達成できると予測されています。ノーベル財団は、大村さんの業績について「悲惨な病気に対する革命的な治療で、その発見が全世界に与えた影響と人類への恩恵は計り知れない」とたたえています。

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