消えたお金を取り戻せ!ネット集団訴訟ってナニ?[2018/09/26 21:00]

 インターネット上で投資をしたことはあるでしょうか。例えば「仮想通貨がもうかりますよ」とネット上で広くお金を集めたものの、お金が増えるどころか元本まで失うという被害が最近、増えているそうです。こういったケースは被害者が全国に点在していて、裁判を起こしにくい現状です。そこで、ネット上で被害者同士を結び付けて「集団訴訟」を起こそうというサービスが立ち上がりました。まさに、「ネット被害はネットで制す」です。

 みんなのクレジットに投資した伊藤拓也さん(仮名):「2、3年くらい前に投資をして、その投資金額がほぼなくなってしまったという被害に遭いました」
 30代会社員の伊藤さん。伊藤さんは「みんなのクレジット」という会社に120万円の投資をしました。配当と合わせて本来ならば150万円が伊藤さんの元に支払われるはずでした。しかし…。
 みんなのクレジットに投資した伊藤拓也さん(仮名):「ストップしたのは去年の7月かな。そこから元本は返ってこずに配当だけ入ってくるようになった。その配当も去年の12月でストップ、今年1月からは何も入ってこない」
 配当はおろか、元本すら返ってこなくなってしまったのです。一体、なぜ…。みんなのクレジットとは、ソーシャルレンディングの会社です。ソーシャルレンディングは個人投資家からお金を集め、ベンチャー企業などの中小企業に融資を行う事業です。企業側が支払う利子の一部をソーシャルレンディングの事業者と投資家が得るという、いわゆる融資型のクラウドファンディングです。資金が必要なベンチャー企業にとっては銀行よりも融通が利き、一方、投資家にとっても少額から投資できるとして人気を集めています。
 みんなのクレジットに投資した伊藤拓也さん(仮名):「社会人になってコツコツためてきたお金の一部。自分としてはかなりショックですね」
 伊藤さんの虎の子の120万円は、払い戻し依頼のボタンを押しても押しても押しても、今のところ、返ってきません。みんなのクレジットは高配当をうたって伊藤さんら投資家から金を集めていましたが、その実態は…。貸付先の大半はグループ会社に集中、出資金の一部は前代表男性の借金返済にも充てられていたなどの理由から去年、金融庁と東京都が業務停止命令などの行政処分を下しました。ここから配当はストップ。投資家たちは怒り心頭、一部の高額融資を行った投資家は去年9月、みんなのクレジットを相手取って民事訴訟を起こしました。
 みんなのクレジットを訴えた鈴木英司弁護士:「出資金が返ってこないということで今、総勢22名、金額は多い人は1100万円。総額で1億円ちょっとです」
 現在も裁判は継続中です。そんななか、今年2月にみんなのクレジットは31億円に及ぶ未払いの債権を約1億円で債権回収会社へ譲渡しました。差額となる投資家らの約30億円が消えたことになります。現在の会社を訪ねてみると…。
 「(Q.みんなのクレジットについて取材を行っておりまして)別会社ですのでお受けしておりません」「(Q.みんなのクレジットとのご関係は?)……」「(Q.みんなのクレジットのHPを見ると、現在はこちらの会社だと思うが?)……」
 みんなのクレジットの前代表男性弁護士は取材に対し、消えた30億円のお金の一部は不動産事業の損失で返済が滞ってしまった、また、民事裁判による仮押さえで信用不安が生まれたとして、だます意図もだましたこともないとしています。また、貸付先がグループ会社に集中していたことは事業が軌道に乗ってから別企業への融資を増やしていた。また、お見舞い金制度を作って全額を原則に粛々と支払いをしているということです。一方、冒頭の伊藤さんは訴訟に乗り出せずにいます。それには訳がありました。
 みんなのクレジットに投資した伊藤拓也さん(仮名):「前に弁護士の方にもこの話を色々してみた。30万円近く必要になると。30万円はあくまで着手金で裁判が延びたら追加でお金がかかることもあると。30万円で弁護士を雇ってお金が返ってこなかったら30万円損になっちゃうので、なかなか依頼というのは決心がつかない」
 120万円を取り戻すために30万円かけて裁判を起こし、もし負けてしまったら…。躊躇(ちゅうちょ)する理由は弁護士費用でした。そんななか、今年5月にインターネット上で同じ案件の被害者を募り、集団訴訟にしてしまおうというサイトが立ち上がりました。サイトを作ったのは自身も弁護士である伊澤文平さん。きっかけは弁護士としての経験でした。
 集団訴訟enjin運営・伊澤文平弁護士:「5万円、10万円の被害額の方とかたくさんいるんですけど、それを弁護士の先生に依頼して回収してもらおうと思った時に、裁判だから30万とか40万円とかかかってくる。そうすると、自分の被害額よりも弁護士に支払う報酬の方が高い。“費用倒れ”が起きてしまう。普通の人は5万円のために40万円払おうと思わない。そういう方たちの被害額は、実は日本のなかに16兆円埋もれているんです」
 一人では少額の被害でも集団訴訟なら被害額も大きくなり、また、一人あたりの弁護士費用を抑えることができるというのです。サイトをオープンしてまだ4カ月ですが、仮想通貨に、ユーチューバーによる被害、薬害問題と、すでに被害額は合わせて60億円に達しています。みんなのクレジットでもすでに3億円以上の被害者が集まりました。サイトは現在、随時、エンジニアがアップデート中。今、考えている新たなサービスはチャットボットだといいます。
 集団訴訟enjin運営・伊澤文平弁護士:「弁護士ロボット君のようなものが導入されてAI(人工知能)に学習させて定型的な質問であれば、前さばきできるような形のロボット」
 少額の被害でも泣き寝入りしない。そんな社会を目指して、集団訴訟を起こしたい被害者と弁護士を結ぶ新たなプラットフォームにしたいということです。
 集団訴訟enjin運営・伊澤文平弁護士:「今後はより社会的意義の高い、例えば夫婦別姓やLGBT同性愛者の問題、違憲訴訟だったり、もう一つの軸としては残業代請求ですね。やはり、ブラック企業は社会問題化している。残業代請求というのは、まだまだされていないものがたくさんあって、それをもっと掘り起こして企業プロセスを透明化しようと。働いたらちゃんとお金がもらえる健全な社会をつくりたいという思いがある。そういったことを目指していきたいなと思います」