“ゴキブリとセックス”画で吐き気 大学側を提訴[2019/02/28 12:28]

 性的・暴力的表現のある芸術家の作品を大学の公開講座で強制的に見せられたなどとして、受講生の女性が精神的苦痛を理由に大学側を提訴しました。

 元受講生・美術モデル、大原直美さん(39):「講義の内容が本当にひどいもので、これが大学の授業なのかと衝撃だった」
 2018年、京都造形芸術大学を運営する学校法人が開いた公開講座を受講した大原さんは、この講座がきっかけで急性ストレス障害を発症したということです。大原さんは企画運営に問題があったとして大学側を提訴しました。大原さんが挙げたのが、全5回の講座のうち2つの講座です。そのうち1つが3回目に行われた会田誠さんの講座のなかで見せられた作品でした。
 元受講生・美術モデル、大原直美さん:「うまく言えないんですけど…。女性に対してひどいものばかりで、AV女優がゴキブリとセックスしている写真を大スクリーンで見せられると吐き気しかしない」
 会田さんは、手足を切断された女の子が首輪をはめられた姿を描いた作品など議論を呼ぶ作品を数多く生み出している芸術家です。絵画や彫刻などの「美術モデル」を職業としている大原さんは、会田さんの言葉に傷付いたということです。
 元受講生・美術モデル、大原直美さん(39):「会田誠講師がデッサンに来たモデルを『ズリネタ』にしたと笑いを取っていたのは、プロのモデルに対する冒涜(ぼうとく)だと思いました」
 私たちは会田さんに取材しましたが、今回の件についてはコメントをしないということです。会田さんはツイッターでこのように述べています。「寝耳に水でした。メディアからの取材はとりあえず断りました。自分のツイッターは編集されないので、ここに何か書きましょうか…。落ち着いた文化教養講座をイメージしていたなら、すごいギャップがあったでしょう。僕は芸術が『落ち着いた文化教養講座』の枠に押し込められることへの抵抗を、デビュー以来大きなモチベーションとしてきた作り手です」
 大原さんがもう1つ問題として挙げたのが、5回目に行われた写真家の鷹野隆大さんの講義です。
 元受講生・美術モデル、大原直美さん:「男性の性器がそのまま出ている作品を何枚も拡大して見せられる。自分が昔、露出狂にあったことを思い出す」
 鷹野さんは私たちの取材に対し、このように回答しています。「講義にあたっては、『これからお見せする作品には男性器が写ったものもあります。もしそのようなものは見たくないという人がいたら挙手してください。一人でもいたらそういう写真は省きます』と事前に確認しています。その際、誰が挙手したのかが他の受講生にわからないように、全員に目を閉じてもらっています。その上で、誰も手を上げなかったので、見せました。こちらとしては強制することがないように十分配慮したつもりだったので、このようなことになり驚いています」。2回の講座でショックを受けたという大原さんですが、その作品については会見でこのように話しています。
 元受講生・美術モデル、大原直美さん(39):「今回の裁判の焦点として会田誠さんの作品が芸術かわいせつかという視点ではやらないつもりです。そういう話をはじめてしまうと、芸術論になってしまう」
 大原さんが責任を追及しているのは2人の芸術家ではなく、あくまで大学側の企画・運営だということです。大原さんは3回目の会田さんの講座の後、大学側の窓口に講座の内容がセクハラにあたると訴えましたが、対策は取られなかったということです。大学側は事前に十分な告知なく、露骨な性的・暴力的描写のある作品画像が呈示されたとして、おわびの文を掲載しました。しかし、大原さんによりますと、大学側からは今後、授業への出席や美術モデルとしての出入りをしないように要請されたほか、京都造形芸術大の卒業生である大原さんに同窓会にも出ないよう求めてきたということです。
 元受講生・美術モデル、大原直美さん(39):「被害者が押し込められて終わりというのは、ハラスメント対策としてはあり得ない」
 大原さんは大学側に慰謝料など約333万円を求めています。大学側は「訴状が届いていませんので、コメントができません」としています。