石碑と教科書に思いを…林キャスターが見た被災地[2019/03/11 17:08]

 東日本大震災から8年の月日が経った。亡くなられた人は去年から2人増え、1万5897人に。行方不明者は6人減り、2533人に。そして、いまだに5万1778人もの人が全国で避難生活を続けている。宮城県女川町では被災当時小学生だった子どもたちが20歳となり、あの日、体験したことを「1000年先まで伝えよう」と活動を続けている。

 津波到達地点よりも高い場所に設置されている「女川いのちの石碑」。現在、17基が町内に設置されている。すべての石碑の裏面には外国語の記述も。これらの石碑を建てる活動は震災当時、小学6年生だった若い人たちによって進められている。そのメンバーの渡辺滉大さん(20)と鈴木智博さん(19)。2人とも今年、成人式を迎えた大学生だ。800人以上が犠牲となった宮城県女川町。震災直後の春に中学校に入学した彼らは、社会科の授業をきっかけに1000年後の命を守るため、津波の教訓を記した石碑を設置するプロジェクトを立ち上げた。1基目の石碑は中学3年生になった2013年秋に設置することができた。石碑は町内21カ所に設置する予定で、これまでに17基が完成。残りの4つは来年の秋ごろまでに設置する見込みだ。命を守るため、津波からの避難を呼び掛ける石碑づくりは、まさに子どもたちが主役となって進められてきた。
 そして、次に取り組んだのは「いのちの教科書」作りだ。中学卒業後、「女川1000年後のいのちを守る会」を発足した彼ら。進学や就職などそれぞれの道を歩みながらも定期的に集まって震災への備えを学習する教材作りも進めてきた。この教科書、いずれは英訳して津波の多い東南アジアなどにこの教訓を伝えたいと考えているそうだ。1000年後のいのちを守る会では全国の学校などでの講演も行っている。今月も渡辺さんは母校の後輩たちに向けて震災当時の体験談や継続している活動の意義などを語った。

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