つわりで頑張って働いたら…給付金が大幅減?[2019/04/17 14:30]

 妊娠中、つわりで体調が悪い時期に「時短勤務」を選ぶか勤務日数を減らすか、その選択によって出産後の給付金に大きな差が出る可能性があります。

 妊娠中の女性を悩ませるつわり。勤務中にも吐き気は容赦なく襲ってきます。夫も妻のつらい姿を見て「勤務時間、短くしたら?」と思うのではないでしょうか。しかし、ここには後に数十万円の差を生む大きな落とし穴があったのです。
 歯科医院の受付として働く20代の女性。去年の9月に妊娠が分かり、ほどなくしてつわりが始まりました。負担を減らすために選んだ時短勤務という働き方。後に育児休業給付金をもらううえでは最も損する選択肢だったことが分かるのです。その理由を社会保険労務士に聞きました。
 社会保険労務士法人アールワン・高澤留美子氏:「休業開始時賃金日額を計算します」
 休業開始時賃金日額とは、育児休業開始前の6カ月の賃金を180日で割った額です。これに67%、もしくは50%を掛けると一日あたりの金額が出るのですが、この休業前の6カ月は単に直前の6カ月ではありません。
 社会保険労務士法人アールワン・高澤留美子氏:「カウントされるのは、月に11日以上働いた月だけというところが大きなポイントになります」
 この結果、どんな問題が起こるか。月の給与が25万円、22日勤務の条件で通常通り勤務した場合は直近の6カ月が算入されるため、賃金日額は約8330円となります。では、勤務日数自体を10日に減らした場合は。
 社会保険労務士法人アールワン・高澤留美子氏:「1カ月に11日以上働いた月が賃金日額の対象となりますので、ここの部分は対象とならずにさかのぼって6カ月が計算対象となります。その結果、こちらの方と同じように一日あたりの賃金日額は8330円になります」
 問題となるのは短時間勤務を選んだ場合です。
 社会保険労務士法人アールワン・高澤留美子氏:「時短勤務をするということは一日あたりの働く時間が短くなるということですので、お給料は当然下がるということになります。しかし、出勤日数は変わらないということであればこの例でいうと22日となりますので、結局この下がったお給料の月の分も賃金日額の計算対象となります。この方の場合、5000円の賃金日額ということになります」
 半年後、2人の間にどのくらいの差が出るかというと…。勤務日数を10日にした人の給付金は半年間で約100万円。勤務時間が減った人の場合、約60万円。結果、40万円もの差が付いてしまうことになるのです。今回の女性のケースでは雇用主である歯科医院の院長にとっても想定外だったといいます。
 加藤歯科クリニック・加藤嘉哉理事長:「体調が万全でないにもかかわらず、午前中、一生懸命働いてくれたことに感謝。給付金が上下してしまうというのは私の方も不勉強だった。公的手当が減ってしまうというのは、女性にとってとても不利な今の現状」

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