【独自】熊谷6人殺害 “死刑破棄”遺族が心中を吐露[2019/12/08 23:24]

 埼玉県熊谷市で2015年、小学生2人を含む男女6人を殺害したとして強盗殺人などの罪に問われているペルー人のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン被告(34)に対し、二審の東京高裁は5日、「精神障害の影響が非常に大きく、責任能力が十分ではなかった」として、一審の死刑判決を破棄し、無期懲役の判決を言い渡しました。

 事件の遺族代理人を務める高橋正人弁護士は、今回の判決は「あきれた不公平な裁判」だったと批判しています。高橋弁護士によりますと、高裁の判決は「被告は自分が襲われるという妄想によって犯行に及んだ可能性は否定できない」と指摘して死刑を回避、無期懲役としています。一方、去年3月の一審判決は「妄想だけでは説明しきれない行動がある」として、被告に責任能力があったと認定し、死刑を言い渡していました。高橋弁護士は、この「妄想だけでは説明できない行動」について、二審ではほとんど言及されず、妄想だけに支配されて殺害したという裏付け、根拠は十分に示されていないと訴えています。

 BS朝日「日曜スクープ」(日曜午後6時54分〜)では、事件で妻の美和子さん(当時41)、長女の美咲さん(当時10)、次女の春花さん(当時7)の命を奪われたご遺族の加藤さん(46)と電話をつなぎ、今回の死刑破棄についてどのように捉えているのか、お話を伺いました。

 大木優紀アナウンサー:「お時間頂きましてありがとうございます。よろしくお願いします」
 加藤さん:「よろしくお願いします」
 大木優紀アナウンサー:「加藤さん、この一審の死刑判決を破棄され、無期懲役という今回の判決を受けて、まずは今のお気持ちをお願い致します」
 加藤さん:「今回の判決は一審判決に対して、これといった新しい事実もなく、妄想を抱いて、殺人を犯したという裏付けもありませんでした。到底、納得のいく判決ではありません。無期懲役と聞いてショックで言葉が出ませんでした」
 大木優紀アナウンサー:「そうですか。この判決を受けて、加藤さんのご家族の思いというのはどのような思いを持っていらっしゃるのでしょうか」
 加藤さん:「はい、かれこれ事件から4年半になりますが、一日一日暗い日々を送っています。そして、1日たりとも亡くなった家族を忘れたことはありません。今回も無期懲役になりましたが、このことを亡くなった家族にいまだに報告できていません」
 山口豊アナウンサー:「加藤さん、大変ななか、ありがとうございます。アナウンサーの山口と申します。よろしくお願いします」
 加藤さん:「よろしくお願いします」
 山口豊アナウンサー:「今回の判決なんですが、結局、被告は自分が襲われるという妄想によって犯行に及んだ可能性が否定できないとしていますよね」
 加藤さん「はい」
 山口豊アナウンサー:「この点、加藤さんとして、やっぱり納得できない点が多数あったと思うのですが、いかがでしょうか?」
 加藤さん:「はい、そうでうすね。被告人は妄想で殺人を犯したとは私は思ってません。被告人は1階の窓から侵入して、それに気付いた妻はトイレに逃げ込もうとしたところ、包丁で刺されて、その後、床の血を拭き取ったり、(遺体を)クローゼットに隠されたと捜査員から聞きました。娘たちが学校から帰ってきて、妻を探しに2階に上がりましたが、そのまま寝室で殺害された後にクローゼットに置かれたと聞いております。そのことを踏まえると、やはり証拠隠滅ではないかと思います」
 山口豊アナウンサー:「そうですね」
 加藤さん:「頭のおかしい人間が本当にそういう行動は取らないと思うんですよね。自分が悪いことをしたのを分かっていたからこその犯行ではないか私は思っています。被告人は襲われるという妄想があったと本人が言っていますが、ずっと法廷を傍聴していましたが、私は客観的に証拠も何も示されていないなと…」
 山口豊アナウンサー:「代理人の高橋弁護士は、心神耗弱で刑が軽減されるのは責任能力が『著しく』減退した場合であって、今回の判決は、どういう場合であれば『著しい』と言えるのかについて、従来の判例の捉え方とずれていると指摘しています。加藤さんは今後、どのようなことを望まれていますか?」
 加藤さん:「検察は最高裁に上告してほしいと私は思っています。そして、一番重い罪を科してほしいと思ってます」
 山口豊アナウンサー:「そうですね。加藤さん、大変ななか、本当にお時間頂きましてどうもありがとうございました」
 加藤さん:「ありがとうございました」

こちらも読まれています