札幌地裁は12日、インターネット検索サイト「グーグル」に対してある男性の逮捕歴に関する検索結果の削除を命じました。削除を求めていた男性は嫌疑不十分で不起訴となっていました。
インターネット検索サイトのグーグルに自身の逮捕歴が表示され続けるのはプライバシーの侵害だとして、北海道内に住んでいた男性が検索結果の削除を求めていました。札幌地裁は12日、アメリカ・グーグルに一部の削除を命じたと共同通信が伝えています。
削除の対象となったのは、性犯罪などについて議論が交わされるインターネット上の掲示板。札幌地裁は男性が削除を求めた検索結果のうち、半数以上は表示を裏付ける証拠がないとして認めませんでした。
今回、削除が認められたのは検索ワードを打ち込んだ後に表示される元のページをつなぐ検索結果です。検索によってページにたどり着く方法が主流の今、検索結果でリンクなどが表示されなければ元のページの情報を閲覧することは難しくなります。
インターネットの個人情報削除について詳しい河瀬季弁護士は、今回の件について「異例の判決」だと話します。
モノリス法律事務所・河瀬季弁護士:「インターネット上に本人にとって見られたくない情報、例えば『逮捕された』というものがある場合に、検索結果に対してそのページの表示を禁止せよ、検索結果に出すなということを求めるケース。これに関して、裁判所が判決を出すというのが今回、初めて。仮処分では削除を認める決定はあった。判決という意味では今回が初めて」
今回の判決で高木勝己裁判長は、不起訴となってから7年が経った今も男性が転勤先で逮捕について聞かれるなど、私生活上の現実的な不利益が大きく、検索結果を表示する社会的必要性を優越すると判断しました。
モノリス法律事務所・河瀬季弁護士:「(Q.今後の裁判に影響は?)その影響は大きいと思う。仮処分の場合ですと、なぜそういう判断になったのかというロジックを裁判所はあまり説明しない。判決の場合にはどういうロジックで何をどう考慮して、そういう判断になったかというところが公開されるので、少なくとも今回の裁判所がこう判断したと。例えば次に大阪で裁判をやるとして、札幌の裁判所がこう判断しているんですから、同じように判断して下さいという話がやりやすくなったというのはある」
ただ、検索に関する個人情報について、河瀬弁護士はまだまだ課題が残っているといいます。
モノリス法律事務所・河瀬季弁護士:「例えば何らかの検索ワードを打った場合に、そのキーワードを検索する人が他にどんなワードを検索しているかというのをグーグルが出すんですけれど、例えばここに『逮捕』『前科』というワードが出てしまうと、見る人はどうしても『この人って捕まったことがあるんだ』と考えてしまう」
このサジェスト(予測表示)も弁護士を介さないと消せないケースも多いといいます。
モノリス法律事務所・河瀬季弁護士:「表現の自由というものと個人のプライバシーや名誉というのをどうバランスを取るのかの問題。少なくとも現代の日本に関して申し上げれば、検索結果から消すのが非常に大変すぎるという感覚はある」
広告
広告