最前線で闘う人に客室提供 #医療従事者にエールを[2020/05/10 09:00]

あるホテルに贈られた、医療従事者からの感謝の手紙。

◆医療従事者からのメッセージ
 皆さんも大変な状況な中、毎日ありがとうございます。
 皆さんのおかげで私たちの日々が成り立っています。

今、医療従事者を支える「支援の輪」が広がり続けています。
東京都・台東区にある「イチホテル浅草橋」
新型コロナの影響で、客足が途絶える中、
空いている客室を有効活用する方法を模索していました。
そこで考えたのが…

●イチホテル浅草橋 高橋 良信さん
「医療従事者の方々に客室を提供させていただいています」

実際に、このホテルに宿泊している医師「Aさん」
彼女の専門は呼吸器内科。PCR検査も担当しています。
まさに新型コロナと最前線で闘っている1人です。

●大学病院に勤務する医師 Aさん
「いつ収束するかわからないですし、我々の施設でも今までで50人以上の
(新型コロナの)入院患者さんを受け入れていまして、先輩の医師が、
 実際にかかってしまったのを見ていますし、明日は我が身という思いでいます」

感染のリスクと隣合わせの日々。
そしてその他にも、彼女はある大きな不安を抱えていました。

●大学病院に勤務する医師 Aさん
「持病を持つ(70代の)母と普段同居していますので、
 その母に移してはいけないという思いでした」

一緒に住んでいる、70代の母に「もし感染させてしまったら…」
その不安が日々頭から離れませんでした。
そこで、彼女が選んだのは「自らの隔離」
母の元から離れることを決意したのです。
そんな中、やっとの思いで見つけたのが、
この「イチホテル浅草橋」でした。

医療従事者に無償で部屋を提供し続けるホテル。
宿泊客がいなくなり、収入が無いにもかかわらず、
いったいなぜこのような支援を始めたのでしょうか。

●イチホテル浅草橋 高橋 良信さん
「医療従事者の方をサポートすることによって、
 1日も早くこういったコロナの感染を防いで、
 また実際の終息という形を1日も早くしていただきたい」

「新型コロナが1日でも早く終息してほしい」そんな思いから始まった支援。
当初は1泊1000円で提供しようと考えていました。
そのことをSNSで発表したところ、返ってきたのは、
「自分も支援したい」というたくさんのコメント。

そこで、寄付金を募る支援サイトを立ち上げたところ、
なんと僅か1週間で330万円もの寄付金が集まり、
部屋を無償で提供することが可能となったのです。

医療従事者と従業員の接触を避けるため、タオルやシーツの補充は、
廊下に置かれた机を使って、宿泊者自ら行い、チェックアウト後、
ホテル側は3日間換気と除菌をしてから清掃に入るなどの
感染防止策がとられています。

そして、広がり続ける「支援の輪」。
医療従事者を少しでも手助けしたいと、
おとといの時点で、なんと700万円以上の寄付金が。

さらに医療従事者に使用してもらうための衣類や、
メッセージカード付きの花など、
たくさんの物資がホテルのもとへと届けられたのです。

●ホテルを利用する放射線技師
「ストレスはあるけど、こうやっていろんな方が
 がんばれって言ってくれてるというのが
 すごい伝わってきて、うれしいので、
 仕事で返せればいいなと思います」

ひっ迫する現場で精神をすり減らしながら働く中、
差し伸べられたこの支援が
医療従事者の“心の支え”にもなっていたのです。

◆医療従事者からのメッセージ
 こんな大変な時だからこそ、助けてもらっていることが嬉しく、がんばれます

そして、母の元から離れて8日。
Aさんは今の素直な気持ちを打ち明けてくれました。

●大学病院に勤務する医師 Aさん
「こんな形で母の日を迎えるのは初めてですけど
 母への感謝を込めて、お花を贈ろうと思います」

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