廃業相次いだ温泉 救ったモノとは? 池上さん解説[2020/09/23 17:21]

 持続可能な社会を目指すSDGsの取り組みが日本でも広まっています。そこでシリーズSDGs、5日目のキーワードは「温泉街の救世主」です。

 池上彰:「18日にお伝えした福島県の土湯温泉はかつては大変にぎわっていましたが、東日本大震災をきっかけに廃業が相次ぎ、観光客が激減していました。ところが、バイナリー発電所の建設で状況が一変しました。人の流れが大きく変わったのです」
 元気アップつちゆ・加藤勝一代表:「年間、ここだけでも2500人に来て頂いている」「(Q.ここを見学に来ている?)半分以上はお泊り頂いていますので、今はもう立派な産業観光として観光資源にもなっていますから」
 福田成美:「発電所を見に泊りがけで来る人が増えたんですね」
 池上彰:「そうなのです。というのも、この発電所が日本の衰退した温泉街を救うモデルケースとして注目されたからです。これをきっかけに再び土湯温泉自体の魅力も伝わり、徐々に観光客が戻ってきました。震災で廃業した旅館もすべて新しくなりました」
 こちらの建物は、こけしをメインに観光交流センターとして再整備されました。土湯温泉はこけしの三大発祥の地として知られています。さらに、若い世代も町のにぎわい作りに取り組み始めました。横浜でアパレルの仕事をしていた渡辺萌さんは、実家の旅館がホテルをオープンするのに合わせて故郷に戻ってきました。廃業した旅館を改装したこのホテルは、とにかく割安です。他の旅館だと1泊1万円からが相場ですが、ここなら5千円ほどで宿泊できます。
 福田成美:「どうしてそんなに安いんですか」
 池上彰:「素泊まり専用のホテルだからです。渡辺さんのアイデアも取り入れて、中は非常に明るい開放的な空間になっています。素泊まりという選択肢ができたことで、土湯温泉を訪れる新たな客層が年々、増えています。発電所が温泉街の救世主となったのです」

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