起業続々「奇跡の村」体育館にウナギ?池上さん解説[2020/09/27 10:00]

 持続可能な社会を目指すSDGsの取り組みが日本でも広がり始めています。そこでシリーズSDGs、最終日のキーワードは「体育館にウナギ」です。

 池上彰:「奇跡の村と呼ばれる岡山県西粟倉村には、これまで200人以上の人が移住してきました。そのきっかけは、村が始めた一つの試みでした。村で起業、つまり仕事を始めないかと募集したのです。その舞台として使ったのがここです」
 福田成美:「学校の校舎ですか」
 池上彰:「そうなんですね。20年前に廃校になった校舎です。ここに全国から起業家を集めたのです」
 エーゼロ・坂田憲治さん:「もともと相談室だったんですが、ここを改装して今、帽子屋ですね」
 山口千夏さん:「(Q.どちらから?)実家は福島県です」
 岡山県内から移住・渋谷肇さん:「西粟倉でとれた鹿革を使ってレザー製品を作っています」
 自然豊かな西粟倉村には鹿も多く生息しています。渋谷さんはレザー加工の技術を生かし、鹿皮で村の新たな特産品を作ろうとしています。このようなベンチャー企業が西粟倉村に40も集まりました。
 福田成美:「商店街みたいになっていますね」
 池上彰:「そうですよね。でも驚くのはまだ早いんですよ。廃校になった小学校の体育館には予想外の光景が広がっていました」
 体育館で行われていたのは、なんと「ウナギの養殖事業」です。4つの水槽で2万匹のウナギを育てているのです。ウナギの養殖に必要な温水は「間伐材」を燃料にした、まきボイラーで沸かしています。
 福田成美:「ここでも間伐材が役立っているんですね」
 池上彰:「そうなんですね。さらに村がウナギのかば焼きをふるさと納税の返礼品にしてから、納税額はまさにウナギ上りになっています。かば焼の職人を雇うなど新たな雇用も生み出しています。間伐材をきっかけに始まった西粟倉村の再生ドラマは今後も続きそうです」

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