「奇跡の村」山間部なのに起業相次ぐ 池上さん解説[2020/09/26 10:00]

 持続可能な社会を目指すSDGsの取り組みが日本でも広がり始めています。そこでシリーズSDGs、8日目のキーワードは「間伐材で再生」です。

 池上彰:「岡山県の『西粟倉村』は奇跡の村と呼ばれています。山間部にありながら会社を興す人が相次ぎ、雇用を次々と生んでいるのです。そのきっかけを作ったのが、國里哲也さんです」 
 木の里工房木薫・國里哲也代表:「ここが弊社の工場です。ここで間伐材を使った家具を製造しています」
 池上彰:「國里さんが目を付けたのは、『間伐材』です。このシリーズでも最初に取り上げましたが、福田さん、どんなものだったか覚えていますか?」
 福田成美:「あまり価値がなくて、森林に放置されたままになっている木ですよね」
 池上彰:「その通りですよね。建築資材としてはほとんど売り物になりませんが、國里さんはそこに価値を生み出したのです」
 國里さんが作っているのは、間伐材を使ったオーダーメイドの子ども向けの家具や遊具です。「子どもに優しい」と口コミで広がり、東京や大阪などの保育園から注文が殺到し、年間の売り上げが3億円にまで成長しました。
 池上彰:「國里さんが始めた『間伐材の利用』を参考にして今度は村が、2008年に『百年の森林構想』を立ち上げました。村全体で間伐材を有効活用しようというのです。しかし、そこである問題が生じました」
 村が間伐材を活用するため調べると、山の所有者がそれぞれバラバラだったのです。そこで村は10年間、山を一括で借り上げ、管理を一本化するという対策を打ち出しました。その結果、間伐材を大量に集めることに成功したのです。
 池上彰:「そして村が作ったのが、このエネルギー施設です。間伐材を細かいチップにして燃やし、お湯を作っているのです。その熱は新しく作られた保育園の空調にも利用されています。國里さんが注目した間伐材が村全体を動かしたのです」

こちらも読まれています