“次世代”ワクチン なぜ?−70℃以下で保管[2020/11/14 22:30]

今週、アメリカとドイツの製薬会社が共同開発を続けるワクチンで、
「90%以上の効果が見られた」という発表がありました。

呼吸器が専門の東京医科歯科大学大学院瀬戸口靖弘特任教授によると
このワクチンはまだ、「臨床試験の中間報告」の段階で、
新型コロナの「感染を防ぐよりも、重症化を防ぐとみられる」とのこと。
インフルエンザのワクチンと、同じだと考えればいいそうです。

しかし、インフルエンザのワクチンと違うのは、
管理するのに、マイナス70℃以下でないとダメだという点。
家の冷凍庫はもちろん、あのカチコチの「冷凍マグロ」の
業務用冷凍庫でも保存できません。

ではなぜ、マイナス70℃で保存しなければならないのでしょうか。

新型コロナウイルスは、とげとげの「スパイク」が
細胞にくっつくことで、感染を広げていきます。

今回のワクチンは、この「スパイク」に注目。

スパイクの設計図をヒトの体に入れて、“細胞工場”でスパイクだけを、たくさん作らせようというものです。
すると、免疫細胞が「新型コロナウイルスが来た!」と勘違いして、抗体をつくるので、
本物のウイルスが入ってきた時にもバッチリ役立つというわけです。

ところが問題もあって、“細胞工場”に部外者が侵入して、
スパイクの設計図を紛れ込ませるのは、簡単ではありません。

そこで登場するのが、脂の膜でできた「脂質くん」です。

設計図を「脂質くん」に包んでもらって、ヒトに注射すると、
「脂質くん」は、見事にするりと工場に忍び込むと、
設計図を紛れ込ませることに成功、スパイクが量産されます。

ではなぜ「脂質くん」は、工場に忍び込めるのでしょうか?

免疫学が専門の広島大学大学院 免疫学 保田朋波流教授によると
「ワクチンで使われる脂質は、細胞膜とほぼ同じ成分」とのこと。

つまり、“細胞工場”を包んでいるものと同じ成分なので、
「脂質くん」は、仲間だと思われて、簡単に工場に入っていけるというわけです。

そしてこの、スパイクの設計図を直接ヒトの体に入れるというのが、
今までにない“新しい技術”。
今回のワクチンのすごいところなんです。

しかし、この設計図、実は綴じ方がゆるくて、ちょっと油断するとすぐバラバラになってしまいます。

そこで、バラバラにならないように、超低温で管理する必要があるんです。

瀬戸口先生によると、
「常温だと数時間もたない」とのことで、注射の時は液体に戻して、なるべく早く打つ必要があるそうです。

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