「かかりつけ医」の戦い “第3波”最前線はいま[2020/11/15 22:30]

▽「コロナ専門病院」相次いで開設
冬の流行期に備えるため、各地で「コロナ専門病院」の開設が相次いでいます。東京都では東海大医学部付属東京病院が、9月下旬から患者を受け入れているほか、都立府中療育センターでも改修工事が進んでいます。大阪府でも重症患者を受け入れる「大阪コロナ重症センター(仮称)」が今月末に完成予定で、医療崩壊を防ぐための「切り札」として期待されています。

▽まず「かかりつけ医」に相談
その一方で、“第3波”の最前線になっているのは街の「かかりつけ医」です。

埼玉県春日部市の「あゆみクリニック」。靴を履き替え院長が向かったのは、発熱患者を診るために駐車場に備えつけたテントです。診察を待っていたのは、発熱と咳の症状がある男性でした。

院長「失礼します。咳出てますね。ちょっとお熱出てる?」
患者「熱というほどでもないですけど、37度ぐらいです」
院長「普通の風邪の喉なので、コロナの検査をしますけどインフルエンザっぽい感じはないから、インフルエンザの検査はしなくて大丈夫ですね」

男性はすぐに結果がわかる『抗原検査』と正確性が高い『PCR検査』を行いましたが、両方とも結果は陰性でした。

この1週間、発熱外来を受診する患者が急増しているといいます。
院長「一日に20〜30名になっています。落ち着いてた時は10〜20名だったんですね」「火曜日ぐらいから急に増えてきたなと思ってます」

これまで“コロナ疑い”の発熱患者はまず保健所などに相談していましたが、新型コロナとインフルエンザの同時流行に備え、指定された全国2万4600カ所あまりの身近な「かかりつけ医」などで新型コロナの検査や診療が受けられるようになりました。
発熱などの症状があったら、まず「かかりつけ医」に電話で相談。検査や診療ができない場合は、その病院や保健所から他の医療機関を案内してもらうことになります。

かかりつけ医が新型コロナを診る際にネックとなっているのが“狭いスペース”です。「あゆみクリニック」では一般患者との接触を避けるため、徒歩で訪れた発熱患者は病院脇のテントで診ます。さらに、車で訪れた発熱患者を診るため、新たに近くの駐車場を借りました。これ以上患者が増えると、対処しきれなくなるといいます。

院長「キャパシティ的には難しいと思うのですね。うちも30名くらいまでだったら何とか、普段の診療が終わった後にPCR検査を回せるのですけど」

指定された「かかりつけ医」には国から防護具が届くことになっていますが、“第3波”が思ったよりも早く来たためかまだ届いておらず、準備が間に合っていない病院も多いといいます。

院長「その先生たちが言うのは、『防護服がなくてどうやって始めたらいいんだろう』っていう」「検査する医療機関が少ないと、うちにかかってくる負担が多くなるので、心配しています」

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