「信じて帰りを待ちたい」はやぶさ2 見送って6年[2020/12/05 20:11]

 日本の探査機「はやぶさ2」が分離したカプセルは、6日未明にオーストラリアの砂漠に着地する予定です。カプセルの中には小惑星で採取した砂が入っていると期待されていますが、カプセル回収班の一人がANNの取材に応じ、「自分たちがやってきたことを信じて、帰りを待ちたい」と今の心境を明かしました。

 JAXAはやぶさ2プロジェクトカプセル回収班・澤田弘崇さん:「(Q.回収前の今の率直な気持ちは?)探査機を地球で見送ってから6年。やっと手元に帰ってきてくれるという気持ちです。砂漠でカプセルを見つけたら、まず『お帰り』と言ってあげたいです」「(Q.一番楽しみにしていることは?)開発を始めてから10年、苦労して開発したサンプル採取装置です。その装置がリュウグウのお宝(サンプル)をしっかり収めて持って帰ってきてくれることを今から楽しみにしています。どんなものが入っているかも楽しみですね」「(Q.一番心配していることは?)我々が開発したメタルシール機構は、今のところ世界でも唯一のサンプルを密閉して持ち帰ることのできる装置です。このシール機構によって地球の大気に一切触れずに日本に持ち帰ることができます。シール機構が6年間の時を経て、ちゃんと機能してくれているか心配な気持ちはありますが、やるべきことはすべてやって打ち上げました。心配した天候も晴れになりそうなので、あとは自分たちのやってきた開発、運用が正しかったと信じて帰りを待ちたいと思います」「(Q.はやぶさ2プロジェクトへの思いや意義、回収後の動向は?)はやぶさ2は立ち上げ時から関わり、開発から運用、すべてに関わってきました。リュウグウという想定以上の困難な小惑星にタッチダウンし、サンプルを採取するという偉業を成し遂げてきたはやぶさ2。カプセルを回収して、サンプルを日本に無事に届けるという憂愁の美を飾れるよう、心して取り組みたいと思っています。私はヘリコプターに乗ってカプセル回収現場まで行って回収します。回収後はヘリコプターで(オーストラリアの)ウーメラの中に整備した実験室まで運び、サンプルコンテナの中のガスを取り出してリュウグウ由来のものか調べます。その後、速やかに日本まで輸送し、相模原キャンパスのキュレーション設備の中に持ち込んで、キュレーションのクリーンチャンバの中に入れるまで、一連の作業を休みなく行います」「(Q.このプロジェクトが人類にもたらす物とは?)C型小惑星ということで、生命の謎を解く鍵の一つが見つかると期待されています。どんな物質が含まれているにせよ、世界で誰も見たことのない『お宝』です。我々の作った探査機によって、太陽系の起源と進化、生命誕生の謎に一歩迫れるという、人類にとって大きな知見をもたらしてくれると期待しています」

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