変わらぬ“一杯” 老舗ラーメン店に途絶えぬ客足[2020/12/31 18:48]

2020年…
新型コロナによって大きく変わった日常。そうしたなか、コロナでも変わらないものを求め、ある老舗ラーメン店には年末も多くの客が訪れています。

東京・笹塚、今にも潰れそうな木造の建物にあるラーメン店「福寿」。
この一杯を求めて、年末も多くの客が訪れます。

お客さん:「体が欲するの。体がね、欲して食べないとツラくなるのね」

店を一人で切り盛りするのが、小林克也さん(79)。 無理せず楽しく働きたいと、営業時間は午後0時ごろから2時間ほど、新型コロナの流行前から、独自に時短営業を続けてきました。
一番人気は「五目ラーメン」。 豚のもも肉を使ったチャーシューや甘辛く煮た椎茸が特長です。 69年前に父親が創業した店の味を、克也さんは守り続けてきました。 コロナに人々が翻弄される中でも、味、メニュー、何ひとつ創業当時から変えていません。

お客さん:「外ではコロナっていわれいても、福寿は…何か、こう変わらない。変わらずに時が流れて…」
小林さん:「新しいもの作る気は全然無い。お客さんは来るときに『あ、なんか福寿で食べたいな』って思う。それは、体の中や記憶の中に入ってるわけ。いつ行っても同じものだって思うから、お客は来る」

変わらない「福寿」にも、新型コロナの影響で新たなしきたりが生まれました。

小林さん:「お金は、あのテレビの前に置いていって頂いてもよろしいですか?」
お客さん:「あ、なるほど」
小林さん:「そこに置いていいんで」
お客さん:「へえー」
小林さん:「すみませんね。運ばせて… 時給1万円ですから頑張ってください!(笑)」

片づけや会計はすべて客にお任せ、この店独自の感染対策になっています。

小林さん:「すごい便利、お金触んなくていいしさ」

コロナ禍でも変わらないものを求め、「福寿」には客が訪れ続けています。

小林さん:
「自分はとどまったままなんで… お客さんが来ては通り過ぎていく」
「来たい人は来るし、来たくない人はもう来なくなる」
「お客様に合わせて頂く、そういうモットーです」
「コロナだけど、何か幸せだったなと思って」

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