絶滅酒米を蘇らせた女性 世界が称えた名酒誕生![2021/01/17 09:00]

 日本酒文化を世界に発信する広島の女性杜氏。理想の味を追い求めたどり着いたのは地元に伝わる幻の酒米でした。

 広島県安芸津町。この地で約150年続く日本酒の老舗「今田酒造本店」。この酒蔵で杜氏を務めるのが今田美穂さん(59)です。

 今田酒造本店・今田美穂さん:「おいしいお酒を造らなければ生きていけない。できることはなんでもやった」

 美穂さんは去年、イギリスの放送局BBCが選ぶ「今年の女性100人」に日本人で唯一選ばれました。かつて「女人禁制」と言われた酒造りの世界での活躍が評価されたのですが…。

 今田酒造本店・今田美穂さん:「弊社に関してはそういうことはなかった。(母は)ずっと働きっぱなしで寝ているところを見たことがない」

 家業である広島の酒蔵で育った美穂さん。東京の大学へ進学し、卒業後も東京の百貨店などで働いていました。

 今田酒造本店・今田美穂さん:「飲み歩くのが非常に好きだったので、日本酒のこともちょっとずつ興味が出て飲んで、(当時の)うちのお酒を振り返ってみると、どうもあかぬけないというか…」

 他の蔵に負けないおいしいお酒を造りたいと、33歳で実家の酒蔵に戻った美穂さん。しかし、当時の酒蔵は…。

 今田酒造本店・今田美穂さん:「経営的には厳しい状態がずっと続いていて、味で選んで頂けるお酒を造れるようにならない限りはもう未来はない」

 何とかして「味で勝負できる日本酒」を造れないものか。美穂さんは「意外なもの」に注目しました。

 今田酒造本店・今田美穂さん:「広島の風土が選んだお米を使ってみたい。八反草(で酒造り)を始めることにしました」

 美穂さんが注目したのは、絶滅してしまった広島の酒米「八反草」。背丈が非常に高く、風で倒れやすいため、150年ほど前に栽培が途絶えていました。

 今田酒造本店・今田美穂さん:「品種改良されていないということは本当にワイルドですから、ぜひどんなお酒ができるのか造ってみたい」

 美穂さんは研究施設に残されていた種もみを譲り受け、地元農家さんとともに八反草復活に動き出します。

 「八反草」を作る農家・道免一致さん(75):「明治時代の稲だということで栽培方法の資料がないんですよ。今にして思えばよく引き受けたなと思いました」

 栽培開始から6年が過ぎたころ、ようやく酒造りに使える量の八反草が収穫できたのですが…。

 今田酒造本店・今田美穂さん:「やってもやってもうまくいかない。おいしいものができないし、納得できるものができない。もうあんまり上手にならないんだったら『代わった方がいいんじゃない?誰か他の人に』とか、酒販店さんに言われちゃったり」

 その後も、米の磨き方や酵母を変えるなど、八反草と向き合ってきた美穂さん。ここ5年ほどでようやく、納得のいくお酒になったそうです。

 今田酒造本店・今田美穂さん:「お酒ってチームワークで造るものなんですよ。一人がいくらシャカリキになってもぜんぜん動けないので、助けてもらいながら一つずつやっていくしかないですね」

 美穂さんは今、日本酒文化を世界へ広めようとさらなる挑戦を続けています。

 今田酒造本店・今田美穂さん:「中華料理に合うお酒というのを一生懸命考えてトライしている。(中華)料理はものすごくバリエーションがあるのにお酒のバリエーションがあんまりないんですね。そこでぜひ日本酒を紹介したい」

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