“時短要請の支援策”に相次ぐ不満の声[2021/01/17 22:00]

全国11の都府県に“緊急事態宣言”が拡大した初めての週末。去年4月、1回目の“宣言”直後と16日の人出を比べると、大阪・なんば駅周辺と名古屋・栄駅周辺、東京・渋谷は2.5倍、福岡・博多駅周辺は1.9倍と大幅な増加となっています。
1回目の“宣言”が出た去年4月7日の東京の感染者は87人でした。それが今回“宣言”が出た1月8日は2392人。
街の声「前回87人でみんな気をつけようとなっていたのに、2000人になっても人が出ているのは、慣れちゃってきているからというのがあると思う。恐ろしいなと」

▽飲食店の取引先「もう少し実情に合った支援を」
午後8時までの時短営業に協力しているラーメン店。厳しい状況の中、頭をよぎるのは“協力金”の対象となっていない取引先のことです。
我武者羅 庭月野 佳介 専務
「麺、野菜、お肉関係、取引業者さんあっての飲食店だと思いますし、二人三脚でともに店を成長させてきたと思ってますし、心配ですね」

このラーメン店に麺を卸している三河屋製麺。300種類の麺をつくり、納品先は、およそ1000店舗。時短営業の影響は深刻で、1月の売り上げは約3600万円のダウン、前年と比較して“3割減”ほどになる見込みだといいます。
政府は、新たな支援策として、時短営業に応じた飲食店の取引先などに、最大40万円の一時金を支給する方針ですが、売り上げの“5割以上の減少”が条件です。現状では、この40万円すら受け取ることはできません。
三河屋製麺 宮内 厳 社長
「(5割減の)6000万円以上の売り上げダウンがないと40万円をいただけない。やっと取引している業者にも目を向けていただいたことはうれしく思うんですけども、声があがってきたからちょっと手当しとこうと、そういうふうに正直見えてしまいましたね。もう少し実情に合った支援をしていただけると大変救われると思います」

▽協力金なしの外食大手…このままでは雇用維持できない
時短営業をしている飲食店には店舗ごとに一日6万円、最大で186万円の協力金が支給されます。しかし、東京都では中小の飲食店に限られていて、大手の飲食店は協力金の対象外です。
都内で126店舗を展開する外食大手「際コーポレーション」が運営するこちらのお店は、時短要請に応じていますが協力金はゼロです。
際コーポレーション 中島武社長
「隣のお店には(協力金)出て、ここには(協力金)出ないと、これではコロナの感染防止にはつながらないじゃないかと。大手には余裕があるから良いだろうと、余裕なんか全くないです。本当に億単位で赤字が出ていて毎月お金を垂れ流していく。従業員の数も多いです。働く人の数もいるし、今いろんなところでどんどんお店を閉店しなくちゃいけない」
「際コーポレーション」は新型コロナの影響で都内の16店舗が閉店に追い込まれました。このままでは約1300人の社員と3000人近くいるアルバイトなどの雇用を維持できないとして東京都に要望書を提出しました。
中島社長「閉店すると同時に働く人を解雇しないといけない。ぜひとも私たちにも同じように支援をお願いしたい」
東京都は、都内に大手のチェーン店が集中していて、財政上の問題などから見直す予定はないとしています。

▽協力金で潤う飲食店「申し訳ないけどありがたい」
都内で会員制のバーなど2店舗を経営するAさん。こちらの店では、お酒の提供などすべてを自分一人で行い、もう一店舗は休業状態だといいます。
Aさん「私が1人でやっているので常連さんが来るまで(店は)ほとんどやってないような状況ですね。どんどん右肩下がりになって本当に腹を切って死んでしまいたいなって思うような感じになっていた。
(一日の売り上げは)1万から2万円くらい3万円もあったら御の字ですよね」
コロナ禍で客足は遠のき、売上は半分以下に激減、店も辞めようと思っていたというAさんは、これまで持続化給付金や家賃支援給付金などでどうにかやりくりしてきたといいます。
今回、Aさんは2店舗分、372万円の協力金を受け取れることになります。
Aさん「大企業の方も大変なんでしょうけど自分一人でやっている人間には非常にありがたい。
だけどもこれから先を見越していくと非常に不安。今はいいかもしれませんけど…」

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