「コロナの全体像を捉えて」最前線の医師が語る課題[2021/01/31 22:30]

政府の、「緊急事態宣言」を1カ月程度延長する方針を医療現場はどう受け止めているのか。新型コロナの治療にあたっている、愛知医科大学病院の後藤礼司医師に聞きました。


Q:率直に、どう思いますか
後藤:「私の病院でも重症患者を受け入れていますが、病床はひっ迫しています。抜本的な対策がない中で宣言延長は仕方ないかなと思う一方で、経済へのダメージを考えると、非常に苦しいとも思います。」

Q:シミュレーションによると、宣言を延長することで“時間稼ぎ”ができるようです
後藤:「時間稼ぎができる、というのは同感です。緊急事態宣言の間に、どれだけ先を見越して対策を打てるのか。先回りをしていないと、次の対策は打てないです。この期間に、次の対策を打ちたいですよね。」

Q:医療現場からみて疑問に感じることは
後藤:「コロナは、“見る角度”によって見え方が違います。重症者を診る病院、軽・中等症を診る病院、ひっ迫具合も病院によって違いますので、『俯瞰した見方』で医療の全体像をとらえることが重要だと考えています。」

Q:コロナに関して得られた知見を、日本の医学界で共有できているわけではないと
後藤:「その通りです。見ている角度によって、コロナの顔つきは違うのですね。例えば、歩いてこられる軽症の、初期のフェーズを診ている人には比較的“軽く”見えるのですね。数パーセントが重症化し亡くなる病気ですので、感染者数が増えると、高度な救命医療機関がひっ迫していきます」

Q:余裕が出てきたら、今度こそ知見の共有や病院の立て直しに時間を使わないといけませんね。
後藤:「そうですね。特に『患者の流れ』について、緊急事態宣言下に整えてほしいと思います。我々のような急性期の病院から次の病院に移る、いわゆる転院して病床をあける、というような形になっていませんので」

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