コロナ禍も“2年生”問われる「キャンパスの役割」[2021/02/21 22:30]

新型コロナの影響で、中退に追い込まれた学生が数多くいます。「大学に通いたかった」という思い‥長引くコロナ過で苦境に立たされ続けている学生について、京都精華大学の学長であるウスビ・サコさんに聞きます。

Q:学生の経済的な苦境について
サコ:事実、金銭面で苦しんでいる学生はかなり多いです。私の大学でもいくつかの対応策をとっていて、「学費納入期限の延長」であったり、「入学延期」などの措置をとっています。困窮している学生には給付金も出しています。寄付を募ってやっていますが、まだまだ間に合っていません。

Q:モチベーションの低下について
サコ:「キャンパスはどうあるべきか」という、重要な問題です。コロナ過の大学の在り方について、私たちは早急に考えなくてはいけないのですが、例えばキャンパスに来ることで色々な人と出会う、同じ問題を抱える人と情報交換することで自分自身の問題が軽くなったりする。オンライン授業ばかりで家にいると精神的な負担が大きいし、どんどんやる気が無くなってしまうのですね。人と関わること、キャンパスは『偶然の出会いのチャンス』を作ってくれるので、成長にもつながる場、「学問とキャンパス」は切り離せないものだと私は考えています。

Q:学生との“向き合い方”について
サコ:私は、対面が基本ではないかと思っています。私の大学では、去年10月以降、80%以上を対面でやっています。先日、学生たちの卒業展示会を開きました。感染対策として人数制限を設けて行いましたが、多くの学生のテーマから、「人間」「人と人」「命」など、コロナが学生の学びに大きな影響を与えていることが見て取れました。
キャンパスに出てくることで、自然と感染対策を身に付けていくものなのですよね。マスクをつけるとか距離をとるとか、アルコール消毒をするとか、引きこもっているとそういったことが上手にならないので。まずキャンパスに出てきて、対面で人と接することで解決されていく、それが基本ではないかと考えています。

Q:大学の在り方について
サコ:日本の大学の在り方そのものが、問われている時代だと思います。学費についても、「単位制の学費」を設ければ自分のペースで勉強できる、5年6年かける人がいてもいいのでは。日本の大学の一番大きな問題は、学費が高いこと。もっと柔軟に、国と大学が一緒になって考えていかなくてはいけない、コロナが考えるチャンスを与えてくれたのでは、と思います。

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