デジタルでコロナと戦う…医療ベンチャーが描く未来[2021/03/02 23:30]

『未来をここからプロジェクト』。1年以上も続く新型コロナウイルスとの戦い。保健所での手作業による患者のデータの処理や、自治体間の連携など、あらゆる部分で、デジタルの遅れを痛感した1年でもありました。そんな状況を変えようと立ち上がったのが、医療ベンチャー・アルムの坂野哲平社長(43)です。
坂野哲平社長:「自宅と施設療養の患者さんが、たまに重症化する方がいらっしゃるとか、そういったところで当社のシステムを採用していただいている」

坂野さんが開発したアプリ『Team』。名前や住所、既往歴やアレルギーなどの情報が一つに集約されています。さらに、患者がスマートフォンで回答した日々の体温や、体調などのデータも自動的に記録。データをAI=人工知能で解析し、重症化リスクの高い療養者を自動的に抽出することが可能となりました。これまでは、電話やFAXでバラバラに集められていたデータを一元化することで、保健所の負担を減らすことにもつながっています。現在、このシステムは、東京都や沖縄県など、全国5カ所で使用されています。

先日の国会で、菅総理は、自治体を導入する場合、国費で賄われると表明。デジタル化のけん引役として、政府も期待を寄せています。
小木アナウンサー:「国としてデジタル化が進んでいないと言われるのは、一体、なぜなんだろうと」
坂野哲平社長:「もっと加速できるはずじゃないのかと、私は正直、思う」
小木アナウンサー:「シンプルに阻んでいる壁は、何だと言えるのか」
坂野哲平社長:「非常に答えづらい質問されているけど、一言でいうと、既得権益者たちですかね」

元々は、動画配信事業を起業した坂野さんですが、医療へ参入したきっかけは、妊娠中に病気が発覚し、生まれてすぐに亡くなった長男でした。
坂野哲平社長:「出産前に病院で診断を受けたときは、そもそもお腹の中で、助からない状態だと。ほかの病院で聞いてみたところ、助かる可能性があるよという話を受けた。『あれ、ちょっとえらい話が違うじゃん』という。結果は一緒だけど、それでも後で助かる可能性があったと知ったときのことを想像するだけで、家族側としては、より多くの情報のなかで、自分たちが選んだ結果が、こうなったと結論に達したいなと私としてはあった」

その後、IT技術で、医療の情報格差をなくすため奮闘してきた坂野さん。コロナ禍のいま、デジタル技術を応用したシステムを次々と発表しています。スマホで血中酸素飽和度を測れるアプリは。療養者の健康管理として使用するほか、PCR検査と連動させることで、ウィズコロナの経済活性化まで視野に入れています。

坂野さんが見る未来とは。
坂野哲平社長:「日本として世界に貢献できる技術開発をして、やはり海外に対して貢献してビジネスになるといった仕組みを作る。昨年が医療業界のDX(デジタル化)元年だと思っていて、急激にDXが来た状態だと思っている。日本は優秀な技術者がいれば、医療の知識も十分あるし、ここで徒党を組んで外に打ち出していけば、必ず私は勝てると思っている」

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