新年度前に急増 コロナ禍の“融資相談”の現場[2021/03/28 22:30]

桜満開で各地に多くの人出がみられる中、感染が拡大し、「第4波」の兆しが見え始めています。
その一方、コロナ禍で2回目となる新年度を前に、金融機関への融資の申し込みの相談が急増しているといいます。融資の現場を取材しました。

▽「今のうちに」桜名所に多くの若者…酒盛りも
緊急事態宣言解除後、初めての日曜。東京の桜の名所、目黒川沿いでは満開の桜を写真におさめる人の姿がありました。27日の夜も夜桜に誘われ、多くの人が。桜の下、お酒を飲む若者のグループが目立ちます。
大学生
「解除されたうちにみたいなのはあります。また(感染者が)増えてきたって言ってました。今のうちに来ないとなと、ちょっと急ぎました」

▽「協力金 全部申請しても厳しい」…“閉店”苦渋の決断
首都圏の1都3県は、飲食店への午後9時までの時短要請を4月21日まで延長。これで東京都の時短は、およそ5カ月に及ぶことになります。リバウンドへの警戒が続く一方、すでに限界を迎えた店もあります。

閉店を決めた飲食店オーナーAさん
「うちとしてはお店の方はもう退く撤退することで決めました。家賃支援、持続化給付金とかも全て受けました。全部の協力金とかを申請しても厳しいです」
3年前、東京五輪のインバウンド需要も見込み、都内に飲食店をオープンさせたAさん。しかし、コロナ禍で朝まで営業していた店は長引く時短で窮地に。
「(協力金)186万円は支給しますって言うのでそこはあてにします。一番大事なのはそれがいつ支給されるか。半年後だったら貰えないのも一緒。ニンジンぶら下げられているようなものなので。」

▽悪化する資金繰り 「追加融資」の相談が急増
首都圏が基盤の城南信用金庫には“融資”の相談が急増しているといいます。
東京・町田市のRV観光は2020年、コロナ対応の実質無利子・無担保の融資制度で、数千万円を借り入れました。ただそれでは足りなくなり、今回2000万円の“追加融資”を希望しています。
城南信用金庫 大松幸一 支店長
「先日お話いただいたご融資の件2000万円、こちらのほうなんですが、(信用)保証協会のほうと打ち合わせしまして、無事に決まりましたので、また今回2回目の新型コロナの融資ですけども、ぜひご利用いただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。」
RV観光 山本敏子 社長 
「ありがとうございます。」

バスは18台ありますが、この日稼働していたのは4台だけ。従業員には休業手当を支払い、仕事を休んでもらっている状況です。
RV観光 山本敏子 社長 
「不安はやっぱりありますよ。これだけの借金をしてというか。でも私だけじゃなくて、乗務員、従業員がいるので、その人たちを守らないといけないということは、借り入れて会社を何とか維持していかなきゃいけない。」

城南信用金庫では、コロナ禍で新たな融資先が4500社、融資額も1500億円増えたと言います。
城南信用金庫 川本恭治理事長
「城南始まって以来の状況となっています。再度借り入れができないか、借入金の返済を棚上げしてもらえないかという相談が日増しに多くなってきている状況ですね。融資をしてコロナの問題が解決したかって、何も解決してないんですよ」

融資先の売り上げが回復しないことには返済は滞ります。そこで城南信用金庫は新たな一手を打ち出しました。
1月に立ち上げた登録無料のグルメサイト。コロナ禍でテイクアウトに乗り出したものの、広告宣伝費をかけられない地域の飲食店のために始めました。

▽運転資金が足りない…問われる支援のあり方
こちらの飲食チェーンは16店舗のうち、6店舗を閉めましたが当面の運転資金が足りず、さらなる融資を求めています。
城南信用金庫 木船貴之 融資担当
「このお店を維持するのにどれくらい固定費ですとかがかかるのか?」
エイペックス 利根川 伊和男 社長
「400万とかそのくらいの数字はどうしても人件費以外にかかってしまいますので、本当にもう頭を下げて、1円でも多くというような形で。私どもとしては本当に枠があるんなら、枠をめいっぱいという形を本当は考えておりますけども」

今、金融機関には、単なる融資にとどまらない支援のあり方が問われていると言います。

城南信用金庫 川本恭治 理事長
「融資が止まってしまえば、当然倒産が増えていくのはもう間違いございませんので。売り上げを確保できるような、本業支援をさらにしっかりとみんなでやっていかないと、この危機は乗りきっていけないなと考えています。」

こちらも読まれています