予報士のつぶやき「竜巻」[2021/04/29 13:39]

■GW半ばに広範囲で竜巻など突風に警戒

GW初日は雨でのスタート。列島を低気圧や前線が通過することで太平洋側を中心に大雨にも警戒が必要な降り方だ。ただ、この連休中はまだまだ荒れた天気が続く。個人的には次の大荒れ、5月1日(土)か2日(日)このあたりのタイミングを特に警戒している。次の大荒れの原因は上空の強い寒気。天気予報ではよく「地上が暑く、上空に冷たい空気が流れ込むと温度差により積乱雲が発達して雷雨や竜巻などの突風が起こりやすい」と解説する。まさにこのパターンなのだが、それにしても今回の寒気はこの時期にしては強すぎる。上空5500m付近の気温を寒気の目安にしているが、5月はじめのころ関東ではこの高さの気温は平年でマイナス15℃前後。これに対し今回予想されているのはマイナス25℃前後。通常よりも10℃くらい低い気温となり、この時期としては異例の強い寒気と言える。

■2012年5月6日にはつくばで竜巻発生

今回の寒気の予想をみて一番に思い出したのが2012年GW最終日に起こったつくばの竜巻。大きな被害が出た竜巻だったが、この時も上空の寒気が強かった。ただ今週末に予想される寒気はさらに強い。2012年5月6日、関東各地で最高気温は25℃以上の夏日となっていて、上空との温度差は大きかった。今回、地上の気温はそこまで高い予想ではないが、上空が強い分、地上と上空の温度差はつくばの竜巻の時と同等レベルと考えられる。つまり、今度の週末にやってくる寒気は竜巻などの突風の恐れがある非常に危険なものと思った方がいい。関東を例にとって説明はしたが、今度の週末、大気の非常に不安定な状態は関東から九州の広範囲にわたり警戒が必要だ。

■もし竜巻に遭遇してしまったら

外にいる場合は直ちに頑丈な建物に逃げ込む。車は飛ばされてしまうので、車に避難することは安全の確保にはならない。家にいる場合、戸建ては1階に避難。1階は絶対安全というわけではないが、過去の被害を見ると2階以上は屋根が吹き飛んだりするなど被害が大きい。窓はカーテンを閉め、窓ガラスが割れることを想定し、窓からは十分離れて待機する。とにかく竜巻に遭遇してしまったら直ちに安全を確保しなければならない。

テレビ朝日気象デスク太谷智一

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