オニオオハシ 繁殖活動実らずオスが産卵? 実は…[2021/04/30 09:55]
札幌市の動物園で約8年間にわたって鳥のオニオオハシの繁殖活動が続けられてきましたが、努力は実りませんでした。その原因は意外なものでした。
色鮮やかなくちばしが特徴のオニオオハシです。
札幌市円山動物園は繁殖を目指して8年前の2013年、「トト」と「ポコ」をつがいで飼育し始めました。
そして2016年からは毎年、産卵が確認されました。
しかし、検査してみると卵はいずれも孵化(ふか)することのない無精卵でした。
動物園はその後も努力を続けますが、ヒナは生まれません。
理由がようやく分かりました。
札幌市円山動物園、飼育展示科・今井菜摘さん:「そこまで驚くというよりは、やっぱりか…って気持ちの方が大きかった」
異変に気付いたのは2018年の繁殖期でした。
オニオオハシは通常、2つから4つの卵を生みますが、巣箱からは6つの卵が見つかりました。
そして去年、カメラを設置し観察したところ、雄であるはずのトトが産卵しているような様子が映っていました。
そこで動物園はDNA検査したところ、初めてどちらのオニオオハシも雌だと分かりました。
札幌市円山動物園、飼育展示科・今井菜摘さん:「繁殖期に入ってトトがポコに餌(えさ)を渡したりとか、そういう様子も観察されていたので、ペアということで繁殖に取り組んでいた」「(Q.餌を渡すのが求愛行為?)そうですね」
求愛行動も見られ、トトは比較的雄らしい体格だったこともあり、性別を疑うことはなかったということです。
動物園は今後、オニオオハシのいる国内の他の動物園と交換を調整して繁殖を目指す予定です。
動物園としては業者からつがいとして2羽を購入したこともあって性別を疑わなかったわけですが、2羽がこの動物園に来た直後は輸送のストレスなどがあることなどから、DNA検査をしていなかったということです。
この動物園によりますと、国内でオニオオハシを飼育している動物園は20カ所ほどと少なく、DNA検査をするにしてもこの個体は確実に雌、あるいは雄だというサンプルが少ないそうです。