深海にすむ巨大なサメの泳ぐ速度 魚類で“最遅”[2021/05/18 17:20]

 深海にすむ巨大ザメの泳ぐ速度が魚類で最も遅いことが分かりました。

 暗闇からゆらりと現れた巨体。体長約3メートルのオンデンザメです。

 駿河湾の水深600メートルで撮影されました。

 こうした映像からオンデンザメの泳ぐ速度は秒速21センチ程度と体重比で魚類のなかで最も遅く、駿河湾に約1150匹が生息していることが分かりました。

 JAMSTEC(海洋研究開発機構)・藤原義弘上席研究員:「恐らくオンデンザメはこの海域のトッププレデター(捕食者)の一つ。生態系を守っていくうえで生物それぞれの基本的な情報は非常に重要」

 オンデンザメの寿命は分かっていませんが、近い種類のサメは脊椎(せきつい)動物としては最長の400年生きると言われています。

 とにかくオンデンザメの生態は分かっていないことも多く、餌(えさ)についても死んだ魚などだけではなく、水面近くで生きているアザラシを食べた例もあるということです。

 今回の研究成果はイギリスの海洋生物学の専門誌で発表されました。

 研究チームを率いたJAMSTECの藤原上席研究員は「海全体も深海も知らないことが沢山ある状態のまま地球の環境変動や人間活動の影響が及びつつある。かつて陸上で上位捕食者を取りすぎて生態系が壊れたという例は枚挙に暇がない。深海でそういうことが起こるかもしれないが、私たちはちゃんと理解できていない。深海は広大なエリアで大きく生態系が崩れると最終的に人間活動にどういう影響が及ぶのか。状況を理解するためにはまず、基礎的なデータが必要だ」としています。

 今回、撮影された映像からはオンデンザメの鼻に釣り糸が絡まっているのが確認されました。

 駿河湾で行われている深海はえ縄漁の仕掛けの一部だとみられています。

(社会部 山野孝之)

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