「同意なく意思に反する性行為を処罰対象に」報告書[2021/05/21 18:11]

 刑法の性犯罪に関する規定の在り方を議論してきた法務省の検討会が「同意していないにもかかわらず、意思に反して行う性行為を処罰の対象とすべき」などとする報告書を取りまとめました。

 刑法の性犯罪に関する規定については2017年に法改正された際、施行から3年をめどとして実態に即した対処を行うための施策の在り方について検討することとされました。

 そのため、法務省は弁護士や検察官のほか、被害者団体の代表などをメンバーとする検討会を設置し、去年6月から議論を進めてきました。

 検討会は今月21日の会合で報告書を取りまとめ、上川法務大臣に手渡しました。

 報告書では被害者が同意していないにもかかわらず意思に反して行う性行為を処罰の対象とすることで意見が一致しました。

 ただ、改正の必要性については「現行法のあるべき解釈を共有すれば処罰されるべき行為を処罰し得る」などとして改正は必要ないとする意見がある一方、「暴行・脅迫や抗拒不能の要件が障害となり、同意なき性交が処罰されていない現実がある」などとして改正が必要という意見もあり、両論が盛り込まれる形となっています。

 そのうえで、改正をする場合の具体的な内容については被害者の「同意がないこと」のみを要件とすることには処罰の対象を過不足なく補えるかという点で課題が残るとして、「処罰範囲がより明確となる要件を検討する必要がある」などとされています。

 また、報告書のなかには時効の在り方についての議論も盛り込まれました。

 性犯罪は被害の認識や申告が難しいことなどから時効の延長などが必要という意見があった一方、時間が経つことで証拠が散逸する可能性があることなどから延長には慎重であるべきといった意見もあり、報告書では「さらに検討がなされるべき」とされています。

 一方、夫婦間などでも強制性交罪などが成立することを条文で明記すべきという点については委員の意見がおおむね一致しました。

 法務省は今後、この報告書を参考に法改正の検討を進めることになります。

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