トヨタ“産業医”派遣「生産方式」生かした集団接種[2021/05/30 22:30]

「ワクチン接種」を加速させようと、全国各地で様々な取り組みが行われています。きょう(5月30日)トヨタ自動車は集団接種の支援を開始、産業医のべ100人を派遣するということです。

▽接種会場は“工場の中”
愛知県豊田市では、トヨタ自動車が産業医のべ100人を派遣するという集団接種が始まりました。
トヨタ自動車 生産調整部 宮嶋伸晃氏
「一人当たりの接種のペースですね。それが40秒に一人という計算になります」
「事前に見積もってレイアウトに落とし込んでいく」
ワクチン接種に、徹底的に無駄を排除する「トヨタ生産方式」を導入。人の流れが止まらないよう、会場のいたるところに順路を示す看板を設置し、行ったり来たりしないで済むよう一筆書きのレイアウトを作り上げました。
接種を受けた人
「看板がずっと、流れが書いてあったから良かったですよ」「もうちょっと時間がかかるかと思ったけど、すんなりできた」

▽「温泉旅館」も会場に
女将「いらっしゃいませー。ワクチンでよろしかったですか、検温失礼します」
女将さんが出迎えて始まるワクチン接種。ここは、海沿いに建つ温泉旅館です。コロナ禍で宿泊や宴会需要が落ち込んだ旅館などへの支援も兼ね、接種会場となりました。
Q.この後、温泉入って帰っても大丈夫みたいですけど
接種を受けた人「それは知らなかったです。非常にいいことだと思います」

▽日本「ワクチン接種」の現在地
現在、ワクチン接種はどれ位進んでいるのか…政府の最新発表では、医療従事者と高齢者合わせて、1日およそ42万回でした(5月27日)。菅総理が掲げる「1日100万回接種」とは、まだかなりの差があります。
さらに新たな脅威も出てきました。ベトナム政府は、インド型とイギリス型の変異が合わさった“新たな変異ウイルス”が確認されたと発表。「これまでのウイルスより、空気中での感染力がはるかに強い」との指摘もあります。

▽緊急宣言“短期集中”はどこへ
緊急事態宣言は今月11日まで、“短期集中”のはずでした。しかし感染者は減らず、まず今月末まで延長、さらに来月20日までの再延長となりました。5月30日の東京の新規感染者は448人。果たして、どこまで抑えれば“宣言解除”になるのか、はっきりしません。「人流抑制」が課題といいますが、都心では多くの人出がみられます。
“宣言”が再延長される一方、デパートなどの大型商業施設は、土日はこれまで通りの休業要請ですが、平日は午後8時までの時短要請に。映画館も休業要請から、人数を制限した上で午後9時までの時短要請に“緩和”されます。

▽店主「カバンも振袖も売って、バイトもして」資金捻出
飲食店は酒が提供できないなど、厳しい状況が続きます。SNSには「悲痛な叫び」があふれていました。
中でも、東京・荻窪のラーメン店が店先に張り出したメッセージが話題となっています。
「もう限界かもしれません。このままではお店も1カ月もちません。もう限界です。皆様、お客さまどうかお助け下さい。美味しく一生懸命作ります。」(抜粋)
オーナーの山崎えつ子さん。店はコロナ禍の去年6月オープン、当初から苦しい状況が続いています。
山崎「国の要請に従えば(協力金が)頂けると思っていたものも入ってこず、毎月毎月支払いが遅れてずれてきてしまっていたので」「本当に潰れるのを待つだけになってしまうので、今のお店の現状をありのまま書かせていただいて」
激励の手紙などが届く一方、売り上げは低迷、店の家賃15万円を滞納することも…
山崎「月末になると、本当にすごい毎日地獄みたいな」「コロナに勝つ国で“かつくに”という名前にしたんですけど、今の状態だと…」
この日は午後6時に閉店。利益が下がったことで、食材も揃わず、ラーメンが作れないという状況に陥っていました。
山崎「いつ営業できなくなるか分からない状態で、まだまだ諦めたくない」
山崎さんは25歳の時に実家の日本料理店を継ぎ、この道へ。しかし、コロナ禍で実家の店は休業。両親を助けるつもりで以前から試行錯誤を続けた得意のラーメンで勝負しようと開店しましたが…
山崎「自分の生活も切り詰めてお金に換えられる物はお金に換えて。バッグとか宝石とか、成人式の振袖着物とかですかね」
テレビなどの家電も売りましたがそれでも足りず、店の定休日には工事現場の交通整理のアルバイトをして資金を集めたといいます。
山崎「簡単に辞めようと思うくらいだったらここまで踏ん張ってやってきてないから、そう簡単に諦められない」

▽動画では苦境が続く「ホテル業界の現状」
「インド型変異ウイルス蔓延による感染者予測」も掲載

5月30日『サンデーステーション』より

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