10兆円規模の大学ファンド創設で若手研究者ら支援へ[2021/06/08 16:12]

 新型コロナのワクチン開発の遅れが浮彫りにした日本の基礎研究力の衰え。政府は、10兆円規模のファンドを創設するなど研究者を目指す博士課程の学生らに対する新たな経済的な支援策を明らかにしました。

 政府が8日閣議決定した「科学技術・イノベーション白書」によりますと、10兆円規模の大学ファンドを創設し、運用益を使って大学院の博士後期過程に進学した学生らを長期的に支援することにしています。

 新型コロナウイルスのワクチンや治療薬の開発で世界から後れを取るなど、低下が明らかになった日本の基礎研究力を強化することが狙いです。

 ファンドはまず4.5兆円からスタートし、早い時期に10兆円規模にしたうえで、2023年度から支援を開始する予定です。

 ただ、実際に運用益が出るまでには時間がかかるため、大学ファンドとは別の支援策も決めています。

 対象は博士後期課程の学生約1万5000人で年間180万円以上などの支援を実現するとしています。

 支援の対象人数については今後、2万2500人に拡大することを目指す予定です。

 白書では基礎研究について「誰も足を踏み入れたことのない知のフロンティアを開拓するものであり、研究成果の見通しを立てることが難しく実用化に必ずしも結びつくものではない」と指摘しています。

 そのうえで「人類繁栄の歴史は様々な基礎研究の成果に支えられたものであり、基礎研究力を一層強化すべく取り組んでいくことが必要」としています。

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