五輪イベント中止相次ぐ“解除”後に感染拡大の恐れ[2021/06/10 23:30]

東京オリンピック開会式まであと43日。湾岸エリアでは、スポーツクライミングなどの競技会場で建設工事が進んでいました。

“トーキョーウォーターフロントシティー”と名付けられた一帯には、7つの競技会場が設置されます。
エリアの中心となるのが全長2キロの遊歩道「オリンピックプロムナード」です。
聖火台が設置されるほか、チケットがなくても参加できるブースや体験コーナーもあり、トップアスリートの練習を間近で観ることもできます。競技を観戦する客だけでなく、イベントに参加する人も訪れると予想されます。

一方で 各地のオリンピック関連イベントは、中止の発表が相次いでいます。千葉県の幕張海浜公園では、最大3000人の来場を見込むイベントが、合わせて4日間、計画されていましたが、千葉県は10日、中止を発表しました。
熊谷知事:「タッチであったり、肩を組んだり、さまざまなことができない。県民の税金を使うわけだから、今であれば、一定金額は節減できるため、こういった判断に至った」

愛知県も15の市で計画されていたパブリックビューイングを中止するよう求めました。
大村知事:「やりたい気持ちわかるけど、7月、8月はワクチン接種の最盛期なので、そのときに集まってワイワイやるというのは両立しない」

東京スカイツリーでは、競技体験などのイベントが計画されていました。感染拡大に伴って入場制限などを検討してきたものの、墨田区は10日、中止を決めました。

緊急事態宣言の期限まであと10日の東京都。ところが、今後 感染が再び拡大に転じる可能性が専門家から示されました。
東京都医学総合研究所・西田淳志センター長:「継続的な人流増加の影響で、近く新規感染者数が下げ止まり、再び感染再拡大へと転じる可能性が高く、強い警戒が必要」

理由としてあげられたのが人出の増加です。繁華街では4週連続で増えていて、特に夕方から夜にかけて人流の増加が目立つといいます。東京については、さらに気になる試算もあります。大阪府での“第4波”と同じ規模の感染拡大が起きた場合、重症者の数はどうなるのか、京都大学の西浦教授が、7月末の高齢者のワクチン接種率を4パターンに分けて行った試算を公表しました。

それによりますと、6月21日に緊急事態宣言が解除された後、重症者は再び増加に転じ、接種率に関わらず、8月上旬には、宣言発出の目安である病床使用率70%に達します。ワクチン効果で高齢者の患者は減りますが、ほかの年齢層の患者が減らないからです。病床使用率が30%を下回り、宣言解除の見通しが出てくるのは11月上旬です。ただし、この試算にオリンピックの影響は入っていません。開催によって人の流れが増えれば、さらに感染拡大が加速する可能性があります。 

いま最も懸念されているのが、インド型変異ウイルスの拡大です。10日までに全国で212人の感染が確認されています。西浦教授らの分析によりますと、感染力は従来型の約1.8倍に上り、来月中旬には半数がインド型に置き換わる可能性があるとしています。

その感染力の強さをうかがわせる事例があります。神奈川県が設置した感染者の宿泊療養施設で、先週、インド型のクラスターが発覚しました。感染したのは、看護師や運営スタッフら合わせて9人。ただ、お互い濃厚接触はしていません。

神奈川県宿泊療養担当課・吉田和浩課長:「保健所の方から『濃厚接触者はいない』と聞いて、そうだろうなと。きちんと感染対策しているので、困惑している部分は正直ある。一定程度業務上の会話をしたりはあったと思うが、この中には看護師・県職員・運営スタッフとそれぞれ違うなかで、違う場所で執務している人が多い。療養者からうつったのではないだろう。普段使うロビーと違い、パーテーションで仕切って療養者のエリアとスタッフのエリアに分けて使っていたので、窓を開けても、どうしても空気の流れがあまり良くなかった。デルタ株(インド型)の感染力の強さが影響しているのではないかとは考える」

現在、発症の2日前から1メートル以内の距離でマスクなどの予防策をせずに15分以上接触があった人というのが濃厚接触者の目安です。神奈川県の黒岩知事は、国に濃厚接触者の定義を見直すよう訴えています。
黒岩知事:「国に濃厚接触者の定義を見直す必要があるのではないかと話をした。デルタ株(インド型)の感染状況を見ていると、濃厚接触者ではない人からも感染者が出ている」

こうしたなか、政府は10日、群馬県・石川県・熊本県に対する“まん延防止等重点措置”について、予定通り、今月13日に解除することを決めました。ただ、石川と群馬では、酒を出す飲食店などへの時短営業を継続します。長引く飲食業界への負担。「崩壊寸前だ」として、18の業界団体が営業制限の緩和を訴えました。
日本ファインダイニング協会・佐藤裕久理事:「歯を食いしばって毎月赤字を垂れ流してやっている。タコが足を自分で食べるようにしながら、我々は命、思いをつないでいる」
日本飲食未来の会・山下春幸代表理事:「復活するのは、ほぼほぼ厳しい。私自身16店舗あった店が、いま6店舗なくなった。今月も1店舗閉まる。そんななかで、どうやって生きていけというのか」

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