緊急事態解除も“リバウンド”の兆候か[2021/06/20 22:30]

20日の東京の感染者は376人で、前の週から72人増加し、この1週間の平均でも前の週を上回りました。
緊急事態宣言が20日で解除となる中、早くもリバウンドの兆候なのでしょうか。

▽“お酒を出せる”飲食店は期待も…
東京では21日から、およそ2カ月ぶりに、飲食店で酒の提供ができるようになります。
鮮魚を取り扱う居酒屋では、営業再開に向け準備に追われていました。
実は、4月25日の“宣言”以降、お酒が出せなくなり、ずっと休業していたのです。
「鰓呼吸」金子 武司料理長
「久々にさわる感じ。商品というか、食材に」
こちらではいち早くCO2センサーを導入するなど、感染対策に取り組んできました。

今回お酒が出せるのは、東京都のホームページで感染対策の責任者を“コロナ対策リーダー”に登録し、ネット上での研修を終えた店のみです。
レインボーマークに“王冠”がついた認証ステッカーが目印で、東京都内に12万店ある飲食店のうち、11万店が取得済です。
酒の提供は全面解禁というわけではなく、午後7時までで、2人以内90分までという条件つきです。
「鰓呼吸」橋本知浩 本部長
「商売としては正直成り立たない。今まで通りにはなかなかならないとは思うんですけど、自分たちがやりたい仕事ができるという喜びも強いですね。」

▽お酒を出す条件”コロナ対策リーダー”に困惑
お酒を出せることへの期待は、 町中華でも。
中華料理「勝楽」野口すみさん
「ビール。入荷したばっかりです。嬉しいです。それだけ売り上げが多少でも上がりますから。」
ただ、酒提供の条件となる、“コロナ対策リーダー”について、聞いてみると
「コロナ対策リーダー?リーダーって言うのはオーナーのことですか?」
お年は80歳。高齢の方には、ネットを使った手続きはハードルが高いようです。

こちらの居酒屋でも72歳の女将がスマホを片手に四苦八苦していました。
大衆酒場カネス 浅野頼子さん
「取っておかないとだめですよと言えば段取りしたと思いますけど。」
コロナ対策リーダーについて、東京都のホームページには、こうあります。
「Q.飲食店の場合、登録は必ず行わなければならないのか?」
「A.必ず行わなければならないものではないが是非ご協力ください。」
それが今回、酒提供の条件となりました。
「矢先になってそんなこと言われてもね、ちょっとね納得しませんね。」

▽大阪 新たな認証「ゴールドステッカー」でドタバタ
大阪も、21日からまん延防止措置に移り、酒の提供が可能になります。
ただ、2人以内で午後7時までです。
お酒が出せるようになるのは自己申告に基づく「青色ステッカー」の店ではなく、大阪府の現地調査が入る「ゴールドステッカー」の店。4日前に始まったばかりの新たな認証制度です。
今回は「ゴールドステッカー」に申請することが条件のため、こちらのお店は大急ぎで手続きを始めました。
「いか焼きパボ」嶺本雅嗣店長
「何かたくさん(項目が)あるしちょっとこれはしんどいな」
申請には43項目の感染対策を講じた上で、それを証明する写真の貼り付けも必要になります。添付例を見ると、すべてのテーブルにアクリル板があることを示す写真や、消毒用アルコールやCO2センサーの写真。咳エチケットをどう呼び掛けているかの写真まで多岐に渡ります。
21日の酒解禁に合わせ、すでに瓶ビールを仕入れましたが―
「お酒を提供してもいいもんかどうかっていうのをね、まだゴールドステッカー取れてないのでね、それまではお酒の提供は中止させて頂く」

▽感染シミュレーション ”ピークが年内にあと3回”
20日の東京の感染者は376人。先週の同じ曜日より72人増えました。1週間ごとの平均でも前の週を上回りリバウンドが懸念されます。
感染の“鍵”を握るのが、デルタ株と呼ばれるインド型変異ウイルスの存在です。
緊急事態宣言が解除され、東京都の感染は今後どうなっていくのか?政府のコロナ対策プロジェクトにも関わった筑波大学大学院の倉橋節也教授にシミュレーションして頂きました。
試算は、インド型ウイルスがイギリス型の1.5倍の感染力を持ち、ワクチン効果がイギリス型の1割減として行われました。
すると解除後、まん延防止措置に移行した途端、感染は急拡大。700人で緊急事態宣言を発出するも、上昇は止まらず、オリンピック開幕当日には感染者1328人とピークを迎えることになるのです。
オリンピックによる人流は、組織委員会が試算した1日34万人を想定していますが、宣言とワクチン効果により感染者数は減少に転じます。しかし…
「この設定では(感染者が)300人まで下げたら(宣言を)解除する。そうすると少し惰性が効きますので下がるんですけども、また上がってきて700人でまた(宣言を)かけるんだけどもピークを迎えてということを
あと3回は年内に繰り返すという感じになる」
しかし、ワクチンを接種する世代を見直すことで、好転する可能性もあると言います。
倉橋教授のシミュレーションでは、感染者を年代別で予測しています。それによると、最も感染が多いのは15歳から39歳までの若い人たち。
「もちろんお年寄りも大事ですけどもここまで厳しく感染力が強いものが出てくると、出来るだけ早く一番活動的でかつ先に感染が発生する若い世代に対してワクチンを打っていくというのは非常に重要な戦略だと思います。」

6月20日『サンデーステーション』より

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