高齢者の介護手当も削減…コロナで自治体の財政危機[2021/06/28 23:30]

新型コロナウイルスの影響で、住民サービスなどを削減している自治体が今、全国に増えています。

毎朝、多くの人々が足を止める神奈川県川崎市の“開かずの踏切”。向河原駅前踏切は、ピーク時には、1時間のうち、合わせて50分以上、遮断機が上がらないこともあるといいます。毎朝、約650人の児童が渡りますが、4月には、30分以上踏切が開かず、400人近くの児童が登校に遅れたケースもありました。

地元の要望を受け、川崎市は今年度から、周辺の8カ所の踏切とともに高架化の事業を始める予定でした。しかし、新型コロナにより、市税の収入が約180億円減ることなどを理由に事業開始を見送りました。
川崎市道路整備課・長谷川智担当課長:「連続立体交差事業(高架化)は期間がかなりかかってくる。長期的に財源や人的資源が、その事業にかかりっぱなしになる。長い目でそういう判断をしている。何とか良い形で再開できるように進めていきたい」

さらに、深刻な自治体もあります。埼玉県新座市では、去年10月『財政非常事態宣言』が出されました。新座市は、新型コロナの影響で、今年度約24億円歳入が減ると見込んでいます。そのため、市の人件費削減などに加え、約18億円分、170項目にも及ぶ住民サービスの見直しに踏み切りました。
高齢者が集う『いきいき広場』も4月に休止されました。会長の永井さんは15年間、ほぼ毎日通っていました。
永井美知子さん(75):「私はどうにもできないし、お年寄りの憩いの場を取ってどうなのと、だいぶ抗議はした。もっと削るところが、ほかにあるのではないか」

さらに、売り上げの減少に苦しむ商店街の運営に関する補助金も減額となりました。
新座市栄四丁目商店会・岩村和夫会長(74):「小さいイベントでも開催できれば、少しは商店街のにぎわいが戻ってくるかなと。コロナでみんな商店街が疲弊している。商店街を盛り上げるような形を取ってもらえるとうれしい」

ほかにも、後期高齢者に配布してきた入浴施設利用券の廃止や、この夏のファミリープールの休止なども決定しました。

削減の波は家族を介護する人にも及んでいます。米谷さんは、自宅で夫を介護しています。これまで『重度要介護高齢者手当』として、月に3000円支給されていましたが、4月からなくなりました。年金生活のなか、介護を行うには行政の支援は欠かせないといいます。
米谷あい子さん(75):「非常に困っている。今はおむつでもなんでも、とってもお金がかかる。いざ介護をやってみると、あれもこれもかかる。主人の居心地をよくするためにと思うけど。『新座市は苦しいんですよ』『皆さんに痛みを分けましょう』という感じなのかな。『来年から削減します』といったら従うしかない。小さいところから取らなくても、財源でうまくやってもらえないかな。切実な思いです」

相次ぐ住民サービスの削減について、市は“苦渋の決断”としたうえで、財政を立て直すための必要な措置だと理解を求めています。

コロナ禍で、厳しさを増す自治体の財政は、今後、どうなるのでしょうか。
明治大学・牛山久仁彦教授:「人口減少、少子高齢者に加えて、感染拡大に伴う支出増や収入減。これらが自治体行政を直撃してくる。無駄を省くとか、行財政改革の試みは必要な部分はある。一方で、高齢者や子ども、障害者の生活が苦しくなるところには、慎重に対応していくということ」

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