対策と課題は…なくならない“子ども巻き込む事故”[2021/06/29 23:30]

千葉県八街市で28日、下校中の小学生の列にトラックが突っ込み、男の子2人が亡くなりました。さらに、女の子1人が意識不明の重体で、男の子2人が重傷を負っています。

事故に巻き込まれた児童らが通う小学校の近くでは、5年前にも登校中の児童がトラックに巻き込まれる事故が起きていました。

歩行中の小学生が巻き込まれた交通事故の死亡者・重傷者は、過去5年間で2734人に上っています。このうち、908人が登下校中の事故で、全体の約3分の1を占めています。

どうすれば子どもたちを事故から守れるのか。各自治体が対策を取る一方で、ある課題も隠されていました。


東京都世田谷区で7年前、小学3年生の女の子3人が軽トラックにはねられました。女の子の1人は、軽トラックと電柱の間に挟まれ死亡。事故が起きた場所は、小学校から約250メートル離れた通学路でした。

この事故をきっかけに、世田谷区は警察と連携して、本格的に通学路の緊急点検を実施しました。


交通事故の原因調査をする専門家は、整備された通学路に設置された『ガードパイプ』と呼ばれる防護柵に注目しました。

『交通事故鑑定Raptor』中島博史所長:「(Q.ガードパイプの効果は?)強度自体は車が突入したら壊れてしまう程度の強度であっても、物理的に障壁があるということが、自動車にとっても歩行者にとっても、ここに近寄らないというような心理的な効果があるために、安全性を高める効果は強い」

さらに、歩道と車道を色分けする方法も、すぐにできる対策として有効だといいます。

『交通事故鑑定Raptor』中島博史所長:「道路側が赤くて、歩道側が緑色。赤と緑で完全に分かれているので、自分がいる位置、車の側からすると赤い所にいるわけですけど、赤いところが自分の領域だからはみ出したくないという心理が生まれる。(Q.お互いにとって心理的にはみ出したくないと?)自分が今いる所と同じ色の所が、自分の領域だと思いやすいので、そこを確保していきたいと感じる。推し進めようと思えば、特殊な塗料ではあるが、色塗りなので、かなり素早く施工できる」

中島所長によりますと、歩道を確保したうえでガードレールを設置したり、交差点には歩道橋をつけるなど、歩行者と車を完全に分けるのが理想だといいます。

ただ、土地の確保の問題や、多額の費用がかかることもあり、限界があるのが実情だといいます。

中島所長は、道路の色分けなど、コストを抑えた対策をなるべく早く実施していくことが必要だと話しています。

その他にも、今回の事故が起きた八街市のケースでは、見通しのいい直線道路で、抜け道として利用されていたことから、路面をあえてでこぼこをつけて、スピードを出しにくくする対策も有効ではないかということです。

こういった道路の対策を取ると、近所の住民にとっては少し不便になることもあり得ます。

ただ、中島所長は「社会全体が子どもの安全を守る意識を持つことが重要だ」と強調しています。

千葉県の熊谷知事は、八街市の事故を受けて、通学路の緊急一斉点検を含めて、再発防止策に努めるよう指示を出したということです。

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