3度目の宇宙飛行 野口さんに聞く“宇宙と地球”[2021/07/09 23:30]

日本人として前人未到、3回目の宇宙飛行を終えた、宇宙飛行士の野口聡一さんが、NASAでのリハビリ期間を経て、日本に帰国しました。

野口さんの最初の宇宙は16年前。機体は憧れだったというスペースシャトルでした。2回目は、ロシアのソユーズで。そして3回目となった去年は、民間宇宙船クルードラゴンです。

民間船で地球と宇宙ステーションを往復するという人類初のミッションの成功が、新たな時代の幕を開けることになりました。

スペースX社に続き、アマゾン創業者・ベゾス氏も民間人の宇宙旅行を表明。さらに、イギリスの航空大手ヴァージン・ギャラクティック社も名乗りを上げました。

気軽に宇宙に行ける日は来るのでしょうか。野口さんに話を聞きます。


(Q.宇宙から地球はどのように見えますか?)
無重力なので本来、上下はないはずなんです。地球は実際には下にあるんですが、宇宙ステーションの構造からして、出窓に頭から入っていくので、なんとなく頭の上に地球があるという感じに見えます。

(Q.3回目の宇宙はいかがでしたか?)
1回1回違った宇宙への挑戦がありました。今回、一番大きかったのはスペースXのクルードラゴンという新しい宇宙船に挑戦することです。これまでの国がつくる宇宙船から、民間企業がそれぞれの工夫、イノベーションとモチベーション、コストダウンも含めて、それぞれの力で宇宙に挑戦できる時代がちょうど始まったところです。そこに過去2回のスペースシャトルやソユーズでの経験を生かして、外国人でも宇宙船を操縦して帰って来れることを見せたいと思っていました。

(Q.宇宙ステーションの限られた空間ではストレスが溜まりますか?)
制約条件を考え始めるとキリがないです。会いたい人に会えないことや、食べたいものが食べれれない。ただ、7名の宇宙飛行士で、そこにある食べ物、そこにある景色、そこにある遊び、場合によってはボールを持ってきて無重力サッカーをしたり、週末になったら宇宙ステーションにある古い映画を観るなど、限られたなかでも楽しく過ごせるものだという気はしました。

(Q.家族とはどのくらいの頻度で連絡を取れますか?)
NASAの方で回線をうまく使わせて頂いて、音声通話はほぼ毎日、できるようになっています。週に1度、オンライン会議のような、パソコンのプログラムを使って、顔を見ながら話すと。そういう意味では、以前に比べると家族との接点は増えてきています。ただ、いつでも電話できるわけではないので、そういう意味ではストレスがあります。

(Q.宇宙での暮らしぶりをYouTubeで発信していましたが、どういった思い出伝えていましたか?)
まずは、私が体験している生活、目にしている景色を地上の皆さんと分かち合いたいというのが一番です。前回の宇宙ミッションの時は、Twitterが始まった時だったので、写真を撮ってお見せしたいと。今回はYoutubeで、自分が宇宙でこんな楽しみ方ができるんだというのを撮って、編集して、アップするところまでが宇宙ステーションからできるようになりました。それがすごく大きかったです。自分の生活そのものを共有できるようになっていました。

(Q.宇宙食は変わりましたか?)
食事は文化ですから、日本のことを紹介するのに宇宙食は素晴らしいきっかけになります。私自身はカレーとかラーメンとかB級グルメが大好きなので、それを皆に配ってあげたりしました。からあげクンは1袋に3個しか入っていませんが、食べてほしいから1度に5個くらい開けて、皆にあげていました。そうすると「こんな唐揚げがあるんだ」とか、アメリカ人でも「日本に訓練で行った時に食べたよ」みたいな話から、色んな話題が広がりました。そういう意味では、国際交流・文化交流のきっかけとしての宇宙食がすごく大事だと思います。

(Q.宇宙食は1袋が小さいと感じますが、1袋で1食分ですか?)
それもすごく大事なポイントです。結構、いっぱい食べるんですが、1度に1種類だけではなく、例えばカレーと野菜のパックと肉のパックなど、バラエティーを増やしているため小さくなっています。

(Q.JAXAが13年ぶりの宇宙飛行士の募集をしていますが、どんな狙いがあるのでしょうか?)
これから月や火星に国際宇宙探査計画で新しい宇宙飛行士が必要なので、色んなバックグラウンド、色んな考えを持った人に募集してほしいです。

(Q.民間人が宇宙に行ける日も近いですか?)
もう今それに入っていると思います。

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