“ゲリラ雷雨”予測最前線 地上458メートルに[2021/07/13 23:30]

今年の7月から9月に、全国で、どれだけゲリラ雷雨が発生するのか予測したデータが公開されました。ウェザーニュースによりますと、全国で約7万5000回発生する予想となっていて、去年に比べ2割も増えているといいます。

最新の研究では、ゲリラ雷雨をより早く、予測できるようになってきていることもわかりました。そのカギは“雲の粒”にありました。

その研究が行われているのが、スカイツリー。地上458メートル、まさに“雲の中の観測拠点”です。ここでは、都心上空の雲の元となる粒“雲粒”などが、どれくらいの密度なのかを観測。地上に設置された雲レーダーの情報と雲内部の情報を合わせることで、予測精度は格段に上がるといいます。
防災科学技術研究所・三隅良平さん:「今までのレーダーよりも、平均17分早く、ゲリラ雷雨の雲を検知できるとわかってきた」

こうした予測情報は、来月にはホームページでの公開を目指しているといいます。
防災科学技術研究所・三隅良平さん:「残念なことに命を落とされる方が、毎年のようにいる。この状況を早く改善していかないといけない。夜中、直前に『大雨が…』と言われても。いざ避難しようとしても、外に濁流が流れたり、もう少し余裕を持って避難できる段階で情報を出す。そのための予測技術を開発していかないといけない」

◆気象予報士の眞家泉さんに聞きます。

命を守るための研究は、ほかにも進んでいて、ゲリラ雷雨の発生を30分前に高精度で観測できる技術も開発されています。理化学研究所などのデータを使って、3Dで雨雲をリアルタイムに表示できるアプリがあり、全国の雨の状況を見ることができます。

(Q.ほかにも、雨雲レーダーを見ることができるアプリはありますが、3Dというのは、どのような利点があるのでしょうか)
ゲリラ雷雨をもたらす雨雲というのは、縦に発達して発生するため、3D表示だと、雨雲内部の様子なども、リアルタイムで確認することができます。過去の的中率は80%以上だといいます。

さらに、13日、理化学研究所が、スーパーコンピューターの『富岳』を使って、このアプリ上で実証実験を行うと発表しました。

(Q.富岳を使うことで、何が変わるのでしょうか)
とにかく早く、正確になるということす。理化学研究所によりますと、富岳を使うことで、30秒ごとに雨雲が最新情報に更新されていきます。30分後の雲の発達具合や動きを高精度に予測し、ゲリラ雷雨が発生する“確率”も出せるようになります。20日から9月にかけて実証実験が行われ、アプリ上でこうした機能が利用できます。今のところ、時期は未定ですが、実用化を目指しているということです。

(Q.30分後を予測できるようになることで、命を守るという観点で、どのような役に立つのでしょうか)
今回の実証実験のチームリーダー、理化学研究所の気象学者・三好建正氏は、「川で遊んでいる子どもに『10分後に大雨が降るから川から離れなさい』と伝えることができる。誰に対して、いつ、どういう対応を取るべきなのか、明確に伝えることは大切で、そういうサービスを実現したい」と話していました。

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