五輪会場近くの病院“ほぼ満床”患者受け入れできず[2021/08/01 22:30]

8月1日、東京では日曜日としては過去最多の3058人の感染が確認されました。東京から離れた北陸の城下町である異変が起きています。

▽4度目の“宣言”から3週間も感染急増
東京に緊急事態宣言が出てから、3週間が経ちました。本来なら、宣言の効果が出ているはずですが…
(渋谷にいた人々)
「やっぱ最近急に(感染者)増えてきたなあっていうのはあったんで、オリンピックもやるってなっちゃったし。」
「ほぼ年中“緊急事態宣言”のように感じてしまうので、正直私も気が緩んでいるところもありますね。」
1日、東京の新規感染者は3058人。日曜としては過去最多、前日の7月31日は4000人を超え、感染拡大に歯止めがかかりません。
重症者は101人。前日から6人増えました。
この事態を受け、小池都知事は…。
「重症者もじわじわと増えてきていますが、そういった方々を抑えるという意味でもワクチン接種はより加速的に、スピーディーに行えればと思っております。」

オリンピック開催中の“感染爆発”。
(佐々木一真アナウンサー)
「オリンピックスタジアムの前にあります、こちらの五輪のモニュメントの前には記念撮影をしようとご覧のように長蛇の列ができています。
100人以上が列を作っている状況です。」
“無観客”となり、会場での応援はできませんが、少しでも雰囲気を味わおうと、各地から大勢の人が訪れていました。
(神奈川県から訪れた家族)
「年賀状用が撮れました。おかげさまで。」
「見ていると盛り上がっちゃいますね。テレビで見ていて。」
「けっこう並びました。2時間以上並んだかな。」
「朝、人がいない時を見計らったつもりだったんですけど、甘かったです。考えが。」
(大阪府から訪れた夫婦)
「本当は今日からオリンピックのチケット、今日、明日とあったんです。」
「水球と、」「レスリング。」
Q:それが無観客になって?
「ホテルも飛行機も取っていたので。一回は見たいなと思って。」
さらに、今は夏休みの真っ只中。
(佐々木一真アナウンサー)
「この辺りかなり混雑しています。夏休み期間ということもあるんでしょうか。若い世代を中心にごった返しています。」
若者に人気の街・新大久保は、ご覧の人出です。街中で、食べ歩きを楽しむ人の姿も見られました。
(新大久保にいた20代の人々)
「けっこう夏休みにも入って出かける子も増えたんじゃないかなって。」
「外に出る方がやっぱり楽しいですし、気分も解放といいますかストレス発散にもなるのかなと。」
「周りが感染してるからちょっと怖いなっていう気持ちはあるんですけど、重症化してる人がまわりに出てないから、それも気が緩んでる部分もあります。」
感染は各地に広がり、全国の感染者は7月31日で初めて、1万2000人を超えました。
政府は、2日から、首都圏の3県と大阪府を緊急事態宣言の対象に追加、北海道・石川・京都・兵庫・福岡に、「まん延防止等重点措置」を適用します。

▽“北陸の古都”に異変 一体何が
加賀100万石の城下町、石川県金沢市。比較的感染が抑えられてきた街にも異変が起きています。
石川県の1日の新規感染者は81人。6月下旬には、感染者0人の日もありましたが、7月に入って徐々に増え、28日には過去最多の119人と、感染者は急増しています。
県の対策本部会議のアドバイザーを務める金沢大学の市村特任教授は大都市圏からの人の流れが一因だと指摘します。
(金沢大学 市村宏特任教授)
「東京や大阪で6月20日に緊急事態宣言が解除されまして、これらの地域からの人流が増加しました。沖縄とか北海道である程度(感染の)流行がなかなか収まらないというところで石川県が観光地として選ばれたのではないかと」
7月31日、金沢市、“市民の台所”として知られる近江町市場にも観光客の姿が…。
駐車場には横浜や千葉など、首都圏からの車もありました。
(千葉県からの観光客)
「首都圏 都内より地方の方が人が少ないと思って場所を選んだんですけど」
(青果店 店長)
「この間の4連休は、お客さんがあふれていて観光客がどっと来ていましたし、売り上げにもつながるんですけどもそのせいで感染者数が増えて自粛しなくていいような人が自粛してというのが本当につらい」
こうした中、県は、まん延防止措置の適用を待たずに、7月31日から観光名所の「兼六園」など、県の施設を一斉に閉鎖しました。
影響は、宿泊施設にも…。
(ホテル「花イチリン」山本英由支配人)
「これは県民割の申し込み(予約)の一覧になります」
Q:状況としては?
「全滅です。残念ながら」
石川県は、7月から再開していた、1人あたり最大15000円の割引にもなる“県民割”を7月31日から、すべて停止。
こちらのホテルでは、この日の宿泊客は0。50件入っていた予約も、全てキャンセルになったと言います。
「去年のコロナの頃から比べれば、少しずつですけれどもお客さまが戻りつつありまして、これ(県民割)に頼りたい部分もあって、
かなり売上げ的にも希望を持てたんですが我慢しかないです。」
地方への感染拡大は、まだ続きそうです。
(金沢大学 市村宏特任教授)
「夏休み、帰省、お盆での人流の増加が予想されることから、そのあたりをいかに抑えるかというのが、これ以上の流行の拡大を抑えるカギかなというふうに思っています。」

1日、全国知事会は、夏休み中の都道府県をまたぐ旅行や帰省を原則中止、または延期するよう求めるメッセージ案をまとめました。
(石川県 谷本正憲知事)
「東京や大阪の大都市で感染爆発が起きますと一定期間をおいて必ず石川県で感染爆発が起き得るわけで、県をまたいでの往来は厳に自粛をしていただきたい」

▽「医療の最前線」五輪会場近くにも
東京オリンピックの競技会場のすぐそばにある横浜労災病院。
7月31日の夜、24時間体制で急患に対応するER・救命救急には受け入れの要請が相次ぎました。
午後11時すぎ、嘔吐と倦怠感を訴える20代の男性が救急搬送されました。陰圧室に移され、防護服を着た医師らが処置。少しでもコロナが疑われる場合には、検査を行う必要があります。
(横浜労災病院 救急災害医療部 中森知毅部長)
「もうみんなコロナの可能性があると思って対応しないといけないから、時間も人手も場所も非常に救急の中で多くを要求される」
「4階北 救命救急病棟。コロナの患者さんの中等症から重症の方が入っている病棟です。コロナの患者さんも平均すると55歳くらい、一番若い方で40歳」
22あるベッドの内ほとんどが埋まっている状態のため、7月31日はコロナの陽性患者9人の搬送を断らざるを得ませんでした。さらにギリギリの医療体制を更に逼迫させかねないのが…
「ただいま病棟の8階にいます。すぐそこにスタジアムが見えます。きょうはサッカーの試合がやっているはずです」
この時、目の前のスタジアムでは、サッカー準々決勝、韓国対メキシコ戦の真っ最中。実は、こちらは、選手やスタッフを受け入れる大会指定病院にもなっているのです。
「こちらはオリンピック大会関係者の方が入院することになった場合、使っていただこうと考えている特別個室です。あまりに近いために、まずお断りすることはできません。」
これまでに受け入れた大会関係者は3人。今のところ、コロナ患者は出ていないといいます。
「私たちの意識としてオリンピックの方も一般の受診してくださっている方もイコールという考えでいます。重い症状の方から早く、緊急度の高い方から早くとその2つの観点から患者さんに対応する」
神奈川県ではこの日、1580人の感染が確認されました。このまま、増え続けると、救急医療が破綻しかねないと言います。
「コロナの患者が具合が悪いと救急車を呼んだ時に搬送先が見つからずに1、2時間路上で停滞するという現状がここ数日徐々に顕著になってきている。今急速に感染者が増えてるわけですから、(ワクチン接種で)重症になる方の割合が低かったとしても、当然数として増えていくわけですから、影響はもしかしたら前以上かもしれない。」


8月1日『サンデーステーション』より

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