“自宅療養”政府方針に対し…医療機関は懸念示す[2021/08/05 06:19]

 新型コロナウイルスの感染が拡大している地域で一部の中等症患者を原則、自宅療養とするとした政府の新方針に対し、医療機関は懸念を示しています。

 新宿ヒロクリニック・英裕雄院長:「中等症以上に関しては、今まで入院医療でやられていたから、そのノウハウは必ずしも我々でさえも多くはない」

 新型コロナに感染して自宅療養をしている患者の往診を行う英医師は7月以降、感染の急拡大で患者の対応が6月の10倍以上に増えました。

 今後、増加が予想される中等症の自宅療養患者の往診に懸念を抱きつつも、政府の新方針については「ある意味妥当」だと一定の理解を示します。

 新宿ヒロクリニック・英裕雄院長:「療養期間をずっと病院で過ごすのではなく、状態が落ち着いたら自宅に戻るような早期退院のシステムを構築する必要がある」

 一方、入院患者を受け入れる病院は、医療崩壊の危機感を示しています。

 埼玉医科大学総合医療センター・岡秀昭教授:「この方針転換はかなりコロナを軽視している。つまりコロナは風邪程度でもう重症化する方が少ないと。そういうふうに受け取っているのではないかと。現場ではもう重症者が多発している。病床を軽症用から重症に簡単に書き換えてあしたから運用するのは難しい」

 病院では3日、プレハブで臨時の病床を設けたほか、重症者用の病床も増やしました。自宅療養では患者の症状の変化を見逃す恐れもあるとしています。

 埼玉医科大学総合医療センター・岡秀昭教授:「(入院していれば)早めに治療できていたものが、対応が遅れてかえって重症化して我々の重症病床への逼迫(ひっぱく)が拍車が掛かるのではないかと」

 厚生労働省によりますと、自宅療養中に死亡した患者は今年に入ってから少なくとも85人確認されています。

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