「救命することをあきらめる」救急医が語る現実[2021/08/23 23:30]

東京都が23日に確認した新型コロナウイルスの新たな感染者は2447人でした。また、全国の重症者は、23日午前0時の時点で1898人。22日より7人増え、11日連続で過去最多を更新し続けています。

厚生労働省と東京都は、改正感染症法に基づいて、都内のすべての医療機関に新型コロナの患者を受け入れるよう要請することを決めました。この法に基づく要請を国が出すのは初めて。正当な理由なく、要請に従わなかった場合は勧告し、従わなければ病院名を公表することができます。
小池知事:「急を要しない入院や手術の延期など、通常医療の制限も視野に入れ、法に基づく協力を都内のすべての病院、診療所、医療従事者に要請するもの」
田村厚生労働大臣:「できる限りコロナに対応する病床の確保、ほかのコロナに対応していない医療機関でも、医療人材、医師や看護師の力を貸していただきたいという要請」

病床が埋まり、自宅療養で何とか凌ぐしかない多くの陽性患者がいるなか、医療の現場では、患者の死と向き合う局面が増えています。

20日、在宅医療の専門クリニックが、保健所から依頼を受けて、訪問した患者。都内のマンションに、父親と2人で住む会社員の男性(55)です。男性は、1型糖尿病を患っています。これは、膵臓のインスリンを出す細胞が破壊されるもので、インスリン注射が必須となります。男性は、食欲がなかったため、インスリンを打つのをやめていました。そのため、合併症を起こしたといいます。このとき、集中治療室での治療が必要な状態に陥っていました。医師は、男性に厳しい話をしました。
医師:「このままだと死ぬかもしれない。病院が見つからない、今、コロナという状況で。だから、どっかの病院に入るだけでも入りたいというなら、延命治療とかできない病院が空くかもしれない。でも、延命治療とかやって、何が何でも助かりたいと言うと、病院側としても責任が取れなくて『受け入れない』ってなるかもしれない」
都内だけでなく、他県の病院にも電話してみましたが、断られました。

医師が到着してから、約1時間後。保健所の手配で、何とか受け入れ先の病院が見つかりました。ところが、患者の状態が悪すぎて、受け入れできないというのです。急きょ、他の病院を当たりますが、見つかりません。

この日、本人の希望もあり、男性は自宅に戻りました。翌日、受け入れ先の病院が見つかり、入院することができましたが、23日、亡くなったということです。男性の遺族は、番組の取材に対し「こんな異常なことが日本で起きるなんて」と、辛い心境を語りました。


都内の病院に勤める救急医は、感染爆発によって、治療の方針が変わってきているといいます。
都内の救急医:「災害モードに切り替えてからは、短期で良くなるパターンか、すぐに亡くなる2つしかないと説明している。長期になる方は、その後、治療しても良くなる可能性が低い方が割と多いので、積極的な治療を継続するよりは、むしろ緩和、苦痛を取る方向にシフトして、より次に来る新しい患者さんに備える。今月16日ごろには、まだ長期の治療をすれば治る可能性があった患者に対して、『これ以上厳しいです』と話して、その2日後に治療撤退させていただいた。救命をすることをあきらめて苦痛を取るという形にさせてもらった」

病床は常に満床が続き、患者の選別を行わざるを得ない状況だといいます。
都内の救急医:「基礎疾患があったり、BMI(肥満度)25超えていたりする人が、早期にワクチンを打っておくことが一番の予防になると思っている。ワクチン2回打って、14日間経ってからの重症化の人は見ていないので。若年化しているのも、それの影響があるのだろうなという印象は抱いている」

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