すでに「命の選択」が…首都圏の広域搬送は機能不全[2021/08/24 17:35]

 首都圏では、県境をまたぐ「広域搬送」が困難になっています。救急の現場を取材しました。

 “東京都民”を取り巻く状況は、日に日に厳しさを増しています。

 東京ベイ・浦安市川医療センター感染症内科、織田錬太郎部長:「東京から『重症者』を受ける状況にはとてもない」

 東京都では、入院調整中の死亡が初めて確認されました。受け入れ先が見つからなかったのは、70代女性です。今月11日に陽性が確認され、軽症でした。

 ただ、高齢であることと、糖尿病と高血圧の基礎疾患があったため、入院先を調整していましたが、受け入れ先は見つかりませんでした。

 19日に自宅で倒れているのを家族が見つけ、搬送先の病院で死亡が確認されました。

 埼玉県でもこんなケースがありました。

 埼玉医科大学総合医療センター・岡秀昭教授:「他のところをあたって頂きたいという話し合いになった」

 都内からの搬送が断られたケース。実際に「命の選択」は始まっていました。

 東京に隣接する、浦安市の「東京ベイ・浦安市川医療センター」。すでに、都民を受け入れる“越境”は断っている状況です。

 東京ベイ・浦安市川医療センター感染症内科、織田錬太郎部長:「都内からは受け入れていません。全員、診て治療してあげたいが、中々それができない」

 重症者用ベッドを7床、用意していますが、定員をオーバーする9人を収容。数日おきに入る、東京都の受け入れ要請をすべて断っています。

 東京ベイ・浦安市川医療センター感染症内科、織田錬太郎部長:「要請に応えられない苦しさがあって、非常につらい思いをしていると感じている」

 病床が多くあるはずの首都圏。それでも県境をまたぐ「広域搬送」は徐々に、機能不全に陥っています。

 埼玉医科大学総合医療センター・岡秀昭教授:「広域の搬送が起こること自体が、これだけの頻度で機能していない状況」

 埼玉県川越市の「埼玉医科大学総合医療センター」です。今後、原則として埼玉県内の患者を優先することを決めました。

 埼玉医科大学総合医療センター・岡秀昭教授:「原則として、川越市または埼玉県、当院のかかりつけの患者を中心に受けていくと。きょうも2床、入るのでほぼ埋まっている状態です」

 中等症病床で、重症患者を診療するなど、満床状態が続く、埼玉医科大学総合医療センター。先週も、都内の患者を断ったケースがありました。

 埼玉医科大学総合医療センター・岡秀昭教授:「都内のある病院から『方々、探しているけど見つからない』と」

 都内の病院から、重症患者患者の受け入れを要請されました。ただ、同じタイミングで、埼玉県内からの自宅療養者・中等症の患者の受け入れも要請されました。埼玉医科大学総合医療センターでは、都内の患者を断り、埼玉県内の患者を受け入れることを決めました。

 埼玉医科大学総合医療センター・岡秀昭教授:「重症ではあるが、やはり都内の患者で、すでに救急で医療機関に収容されていたので、何とか状態の悪化に関しては、食い止められるだろうと。ところが、埼玉県内の患者に関しては、搬送の時間も都内より短く受け入れることができる。大変だと思うけれど、他のところをあたってほしいと」

 すでに、命の選択は行われている状況だと、警鐘を鳴らします。

 埼玉医科大学総合医療センター・岡秀昭教授:「ある程度、ラインを引いて受け入れの選択をせざるを得ない状況ですから、医療の崩壊は起こっていると理解してもらいたい」

 医療現場の逼迫(ひっぱく)を改善するため、都内で運用が始まった「酸素ステーション」。一足早く始まった神奈川県。実情は厳しいようです。

 神奈川県災害医療担当・山田佳乃課長:「やはり、酸素を吸っているだけだと、状態の改善はなかなか見込めないというのがあり、皆さん入院する形になっている」

 想定より重症の患者が多く、23日までに65人が利用。状態が改善し、自宅療養に戻った人はなく全員が入院しました。医療現場の負担軽減には、すぐつながらないのが現状です。

 神奈川県災害医療担当・山田佳乃課長:「近隣の医療機関から協力を得て、往診という形で投薬をしている。脱水症状が進んでしまった患者の例があり、現在は、投薬だけじゃなく点滴も行うようにしてる」

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