全国初!トドの人工哺育にチャレンジ 大分の水族館[2021/09/03 10:36]

 大人は体重1トンにも…。「難しすぎて」前例がないとされるトドの人工哺育が大分市の水族館で行われています。全国で初めての試みだということです。

 大分マリーンパレス水族館「うみたまご」飼育員・澤田達雄さん:「ちょっとお母さんにも申し訳ないとも思うんですけど、人工哺育に切り替えるという判断をしました。結構難しいんですよ、やっぱりしない方がいいんでね」

 6月下旬、大分市の水族館で雌のトドの赤ちゃんが誕生しました。

 ミルクをもらう赤ちゃん。生まれてからお母さんのおっぱいを飲んでくれず、飼育員は一日中、付きっきりです。

 大人は雄で1トン、雌で300キロにもなるトド。神経質で攻撃的な性格もあり、こうした人工哺育は前例がありません。

 しかし、水族館は「守れる命は守ろう」と大きな決断をしたのです。

 大分マリーンパレス水族館「うみたまご」飼育員・澤田達雄さん:「まず1つは母獣から赤ちゃんを取り上げるというのが、大型でお母さんも(赤ちゃんを)守ろうとするのでお互い危険が伴うというところ。人工のミルクとなると最初おなかに合わなくて下痢になってしまったり、そういったところがかなり難しかった」

 どんなミルクがいいのか…。試行錯誤の末、たどり着いたのはアシカなど他の海の哺乳類向けのミルクではなく、犬用の粉ミルクでした。

 7月、今度は呼吸ができない状態の赤ちゃんが生まれました。

 実は去年、この水族館は逆子で生まれたトドの死産を経験しました。

 赤ちゃんの口に差し込まれている管は「守れる命を守る」と誓った水族館がトドの死骸から作ったものです。赤ちゃんは一命を取り留めました。

 大分マリーンパレス水族館「うみたまご」飼育員・澤田達雄さん:「今回『トドでうみたまごが初めて』って言いますけど、それが日本全国の水族館の一人ひとりのスタッフの汗と涙の結晶ではないですけど、苦労した思い、命を大事にしていこうという思いが今回の(人工哺育)につながっただろうなと思う」

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