障害者の収入を改善 夢の“チョコ・プロジェクト”[2021/09/04 18:35]

 150種類以上の味が楽しめるこだわりの「手作りチョコレート」です。ここには「誰もが幸せになれる社会を作りたい」という熱い思いが込められていました。

 子どもや女性が目を輝かせて選んでいるのは「おしゃれで色鮮やか」と評判の「手作りチョコレート」。その絶品のチョコで人気のお店は、横浜市内の住宅街にある「久遠チョコレート」。全国に28店舗を構える「チョコレート専門店」です。

 人気商品は、チョコにナッツやドライフルーツを混ぜ合わせた「テリーヌ」。様々な組み合わせで、なんと150種類以上の味が楽しめます。

 そして、マンゴーやストロベリーなど7種類のドライフルーツを1つ1つ丁寧にチョコレートで包んだ「クオンフルーツ」。

 この、こだわりのチョコを作っているのは、全国の「障がい者」の皆さん。全店舗の従業員500人のうち400人が障がい者です。

 その他にも…。障がい者に作業を教える「トランスジェンダー」の男性など、様々な事情で仕事に就けなかった人たち。

 さらに、障がい児を持つ母親のために託児所を備えた店舗も。娘を預けながら働いている母親は…。

 大野加奈さん(35):「子どもの体調が悪いと早退もオッケーしてくれる。感謝している」

 障がい者の就労支援のため、この画期的な試みを7年前に始めたのは、夏目浩次さん(44)。そのきっかけは。

 久遠チョコレート・夏目浩次オーナー:「障がいがあるだけで働き口がない。多くの方が福祉作業所へ行くんですけど、月の給料が1万〜1万5000円と知って」

 全国の福祉作業所で働いている障がい者は約34万人。そのうち、最低賃金に達しているのはわずか2割ほどです。

 そこで、夏目さんは「低すぎる障がい者の収入を改善したい」と18年前に脱サラ。障がい者3人を雇用して愛知県でパン屋さんをスタートします。しかし、大きな壁が…。

 久遠チョコレート・夏目浩次オーナー:「何時間もかけて仕込んでも、最後に焼き方で間違えると全部捨ててしまう」

 そこで始めたのが、ロスの出ないチョコレート作りでした。

 久遠チョコレート・夏目浩次オーナー:「熱を入れて溶かせばもう一度やり直しができる。『失敗してもいいよ』って、それがチョコレート」

 作業は細かく分けて単純化されています。その理由は…。

 久遠チョコレート・夏目浩次オーナー:「皆、できることとできないことがあるじゃないですか。そのデコボコをパズルを組み合わせるみたいに得意な組み合わせをしていく」

 チョコに入れるナッツを砕いているのは、視覚障がいを持つ中村さん(50代)と丸山さん(20代)。

 支援スタッフ:「上から押すだけで割れる。目が見えにくくてもできる作業」

 溶かしたチョコレートにドライフルーツを浸ける作業を担当するのは、交通事故で右半身が麻痺してしまった松本さん(40代)。

 支援スタッフ:「片麻痺(かたまひ)があるとボールを押さえて混ぜるのが難しいけど、(この作業は)両手を必要としないので」

 こうして、その人に合った仕事を見つけることで障害を持つ人にも、最低賃金以上の給料を支払うことができるのです。

 久遠チョコレート・夏目浩次オーナー:「ここでやっていることがごくごく自然で当たり前な、そんな社会になってほしいし、ならないといけないと思います」

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