「地域のため」と…コロナ専用に移行した病院の葛藤[2021/09/05 18:27]

 5日、東京都では新たに1853人の感染が確認されました。14日連続で前の週の同じ曜日を下回っていますが、依然として高い水準が続いています。亡くなった人は10人、重症者数は4日から3人減り、264人となっています。

 そして現在、21都道府県に出されている緊急事態宣言について政府は、一部延長する方向で調整に入りました。新規感染者数や病床の使用率などを踏まえ、東京、神奈川、埼玉、千葉の4都県は延長される見通しです。大阪など関西の3府県と東海3県は延長するかどうか検討するとしています。これらの地域以外では、医療の逼迫(ひっぱく)度合いや重症者数などに応じて解除に踏み切ることも検討しています。延長幅は2週間から今月いっぱいとする案が出されていて、今週中には正式に決定されます。

 終わりの見えないコロナとの戦い。地域医療を支える使命と経営面で苦悩する病院を取材しました。

 コロナ治療にあたる埼玉県の民間病院。課題は「病床の確保」でした。

 公平病院・公平誠院長:「第5波のコロナ感染の患者が多くなって、病床を増やしていかないと入院の受け入れも厳しくなるだろうと…」

 病院では先月31日、68あるすべてのベッドをコロナ専用にしました。今月4日までに51床が埋まったといいます。

 主に中等症患者の入院を受け入れ、重症化した場合などは呼吸器を付けて転移先へ搬送されます。

 埼玉県内の新規感染者は、先月19日の2170人をピークに減少傾向にあるものの、入院と宿泊療養を調整している人の数は今月4日の時点で1475人に上っています。

 この病院では外来や訪問診療はこれまで通り行いますが、地域住民からは不安の声も…。

 通院する70代女性:「糖尿病なのでちょっとおっかないですね」

 公平病院・公平誠院長:「結構、心配される。コロナ患者を受け入れ一般診療が減って経営破綻するんじゃないかと」

 コロナの入院病床「1床」につき、支給される25万円の補助金などを受けながら、半年ほど「コロナ専門病院」として運用。その後は、一般向けの病床を戻す予定です。
  
 国や県の経済支援は整ってきたといいますが、不安は消えません。

 公平病院・公平誠院長:「通院してきた患者が通いたくないと中長期的に起きてきた場合には経営面での影響が出る可能性がある」

 重症以外の患者を受け入れても経営に問題がないという病院が福島県いわき市にあります。先月、コロナ病床17床を新たに設置しました。

 ときわ会グループの病院・杉山宗志事務長:「(コロナ患者は)4万1000円の金額が県から頂ける。補助金の方が高くなるのでプラスになる。スタッフの負担を考えるとプラスになったからといっていいものではなく…」

 設備投資にも数百万円から数千万円かかりました。

 ときわ会グループの病院・杉山宗志事務長:「地域のことも思うと他にうちがやるしかないかなということもあり、何とかやろうかとなというところです」

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