安全な救助や事故の削減“リモート重機”の可能性[2021/09/19 18:42]
18日も台風に伴う大雨で被害が出るなど日本各地で土砂災害が相次いでいます。危険を伴う災害現場で今、注目されているのは、重機のリモート操作です。
全国各地で甚大な被害をもたらした大雨による土砂災害。
静岡県熱海市では二次被害の危険もあるため、行方不明者の捜索が難航しました。一刻を争う災害現場での人命救助。そこで、大いに役立つと期待されている技術があります。
普通に動いているように見えるショベルカーですが、よく見ると操縦席に人が乗っていません。なんと、およそ120キロ離れた場所から操作していたのです。
ARAV代表取締役・白久レイエス樹さん(31):「建設機械に後付けで搭載することで、どこからでも操作を可能とする遠隔操作装置です」
ショベルカーなどの重機を離れた場所から動かせる遠隔操作装置。インターネットにつながっている端末があれば、どんなに離れた場所からでも遠隔操作ができるといいます。しかも、スマートフォンやゲーム用コントローラーでも操作が可能です。
普段は重機の整備士で、初めて遠隔操作をした脇さんに感想を聞いてみると…。
新光重機整備士・脇敬士さん(39):「動きがスムーズだったのでびっくりしました。自宅で操作できれば通勤だったり楽になると思います」
開発したのは、東京大学から支援を受けているベンチャー企業「ARAV」の白久レイエス樹さんです。
ARAV代表取締役・白久レイエス樹さん:「大雨や土砂災害が頻発しているので安全を確保しないと(復旧・救出)作業に臨めないと思いますので、無人の重機を活用できると思います」
災害時に限らず、危険が伴う建設業では去年1年間で258人もの人が亡くなっています。
福岡県にあるこの会社では、今年5月から遠隔操作を導入しています。
林田興業グリーンリサイクル課課長・正野公文さん(37):「木くずなどをチップ化している工場ですので労働環境が粉じんがすごくてあまり良くない。改善できればというところがきっかけ」
コロナ禍のため、自宅にいながら作業を進めることも検討中だといいます。
白久さんが開発した遠隔操作装置は、後付けで搭載できるため、ショベルカーだけではなく様々な重機に取り付けることが可能。
値段は数千万円と高額ですが、現在、数十社と商談を進めているといいます。
ARAV代表取締役・白久レイエス樹さん:「危険な現場からはなるべく(人が)遠ざかることを地道に積み重ねていけば必ず事故は減っていきます」
重機の遠隔操作で、より迅速で安全な作業ができる現場を目指しています。