“思い出の品”焼却せず輸出へ 遺品再生の現場[2021/10/02 18:30]

 CO2削減へ「遺品」の再利用が注目されています。所有者が亡くなると、これまで、その多くは焼却処分されてきましたが、状態のいい家具などが海を渡り、海外で人気になっています。

 日本からおよそ3500キロ。フィリピンのダバオ市にあるリサイクルショップ「ARIGATO」。実は、日本と深いつながりが…。

 この店で売られている家具や食器はすべて、日本から輸入した「中古品」です。女性が購入したのは、状態の良い二人掛けのソファ。遠く離れた海外で今、日本の中古品が注目されているのです。

 輸出される中古品には、ある事情がありました。荷物が散乱しているこの家には、去年9月まで、77歳の女性が一人で暮らしていました。しかし、散歩中、交通事故に遭い帰らぬ人に。

 おいの男性:「たくさん遺品が残されているんですけど、家族がいないので、引き続き使う人がいない」

 そこで親族は、不用品の片付けを遺品整理業者に依頼したのです。今回、この業者を選んだのには理由が。

 友心まごころサービス・岩橋ひろし社長:「どこも破れてなく、使えるものは、リユース(再使用)でつないでいく」

 焼却処分の費用がかからず、CO2削減にもつながる遺品のリユース。特に日本の家具や茶わんなどの食器、ぬいぐるみはフィリピンで人気だといいます。

 おいの男性:「おばさんの大切にしていたものが、そのまま生きていくというか、遺族としてもありがたい」

 福岡県博多港。遺族から提供された家具などは、再利用できるかチェックしたうえで、この倉庫に集められます。海外では特に、大型の家具が人気だといいます。

 友心まごころサービス・岩橋ひろし社長:「大型家具は、国内では再利用のニーズがない」

 この後、船でフィリピンに運ばれるのですが、少しでも多く積み込むために、ある工夫を…。食器や靴などが入った箱を家具の中に詰め込んでいるのです。

 先ほどの女性宅にあったソファーなどと一緒に、コンテナに入れられました。

 友心まごころサービス・岩橋ひろし社長:「フロムジャパン。日本から来たものは喜ばれて、大事に使ってもらえる。環境保全にもつながっていく」

 こうしたCO2削減に向けた取り組みは、国内でも広がっています。「粗大ごみ削減」に積極的に取り組んでいる福岡県久留米市では…。

 久留米市環境部・井上和憲さん:「環境的な問題もあるので、ごみを減らそうと『宝の市』を始めている」

 久留米市で処分される粗大ごみは、年間およそ600トン。そのなかには、まだまだ使える家具などが数多くあります。

 そうした、粗大ごみを無償で引き取り、修理したうえで、市が運営するリサイクルショップ「宝の市」で安く、販売しているのです。人気のある商品は抽選になるほどだといいます。

 久留米市環境部・井上和憲さん:「(Q.一人で何品も買える?)一人1品。家族で来れば家族分OK!」

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